ニート in パリ - 行けっ森蔵!

偶然フランスはパリに移住することになった30代女子の生活。なぜか画家のベルト・モリゾに惹かれている。

家族と平成と、ノートルダムとパリの高級マンションと

今週のお題「平成を振り返る」

 

「平成」と聞くと、すぐに平成生まれの若者を想像してしまうのは、私が昭和の終わりの生まれで、平成に引っかからなかったからか。

平成元年生まれの弟を持つ30代の姉である。


弟と年子の妹は、私よりもっとギリギリ昭和生まれである。
といっても、知的障害を持つ妹、名探偵コナンの「体は小学生」のセリフでいうと、「体は29歳、頭は(永遠に)2歳」なのだ。実際、妹はとてもじゃないけれどアラサーには見えない。

 

といっても私も人のことは言えない。私自身、相当の童顔、背が低いのもあるのか20代前半にしか見えないようだ。
美魔女になれるであろう60代を楽しみにしている。

 

ちなみに私の夫も童顔で、トルコに旅行した際は現地の大学生に日本語で
「日本人の大学生かと思った」
と言われる始末。2人で年齢不詳夫婦だ。

 

ちなみにうちの弟はがっかりエピソードはないようだが、20代後半にもかかわらず、すでに薄くなる髪の毛の心配をしている。

 

うちの家族は昭和→平成に典型的な母子家庭。
父は「男は黙ってサッポロビール」タイプ。黙々と毎日仕事に行き、夜中近くに帰ってくる。私が小さい頃、朝出勤する父に向かって
「お父さんまた来てね」
と言ったそうである。

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母と母の実家は声が大きくておしゃべりでにぎやか。
比較的静かなのは叔父くらい。
そんな母方の家族の力が家庭内では強く、母からは常に
「気持ちを分かってもらいたいなら、ちゃんと言いなさい!」
と言われていた。


お母さん、でもね、それを守っていたら、娘はアメリカ人みたいな女の子になりましたよ、、、

 

弟は家族と全く性格が違い、自分の感情をぶつけない。
そういう意味では典型的な空気を読む日本人だ。
嫌なことがあっても飲み込み、溜め込む。

 

一方、アメリカ人みたいになった私は日本社会では相当浮いて、人間関係に苦労した。
日本人との付き合いでは基本的に緊張する。
そもそも日本のことを考えるとたまに後頭部が痛くなる。

これってまさか、鬱?
日本の1番の友達は和食と畳なんじゃないか、と思う。


しかし、弟は日本人とのコミュニケーションが得意。
ただ、空気を読みすぎて後でぐったり疲れてしまう。
結果的には私と同じように友達が少ないタイプのようである。

 

そんな弟だから、空気を読まない人たちで構成されているうちの家族の中では苦労する。
家族にカチンとくるようなことを言われると、数日後、家族がそれぞれの家に帰った後に爆発する。
弟と家族とは現在冷戦状態である。

弟と私は仲が良い方だが、私が連絡すると「家族を思い出す」のであまりしないでほしいとのことで。

 

そんな弟は、人事採用の仕事で心が疲れ、現在はソフトウェアエンジニアとしてキャリアを再スタート。大学でプログラミングをやったわけでもないのに、友達に助けてもらいながら独学で学び、小さいソフトウェア会社に入ったとのことだ。


家族の中では評価が低かった弟だが、最高に頭の回転が早く、切れ者の弟である。

 

「平成」の言葉の連想で感傷的になってしまった。
そしてなぜかポロポロ泣けてきた。

 

・・・・・・・


ポロポロ泣けるといえば、ノートルダム大聖堂である。

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セーヌ川河岸から撮ったノートルダム(左端)


私は全くニュースに気がつかず、私のお気に入りのパリ案内のYouTuberが
“Notre Dame is on fire”
とアップしているのを見て
「この人はノートルダムがすごい好きなんだな」
と呑気に捉えていた。


しかし、夫との夕食時に、夫の上司から連絡が入って気がついた。
YouTubeでニュースを見てみると(フランスのテレビはもちろんフランス語なので、見ていない)、ゴウゴウと大聖堂が燃えているではないか!

パリに来てから行ってなかったな、、、
大学生のJTBの安いツアー旅行の自由時間に行ったな。あれは10年以上前だ。
しんみりしてきてしまった。

ニュースに写っているフランス人たちも、まるでこの世の終わりかのように絶望感が漂っている。

実際、翌日語学学校の先生がこの話題をふりながら悲痛な表情を浮かべていた。

 

私の隣で夫はケロリとしている。
パリ転勤が決まってこちらに移住してきた時に1人ですでにノートルダム観光はしていたようだが、何も感じないのか?
夫いわく、
「日本の建築物とか、簡単に燃えるから、僕としては『こういうことってよくあるよねー』って感じ」
まあ、そうかもしれませんね。

 

でも待てよ。


ノートルダム大聖堂って石造じゃないの?
なんで燃えるの?

と後日ネット検索。
すると、同じような疑問を持った日本人がネットで溢れているようで、質問箱も賑わっている。
解説によると、ノートルダム大聖堂に代表される中世のゴシック建築は、神に近づくために高い建物にしようと天井が高く作られたが、屋根の仕組みとしてはまだ技術がなく、木製の枠組みに石を乗せたようである。
私の好きなロマネスク建築(文字どうり「ローマ式」)は、ゴシック建築の時代の一つ前の時代だが、石と石の力のかかり方を計算した上で、天井を石組のアーチにするやり方。木を使っているイメージはゼロだった。

 

・・・・・・

石造で永遠に建っている建物にもろい部分があったのは意外だ。
しかしパリの建物たちは、日本人の夫と私の目から見ると灰色で、相当ボロボロだ。

地震大国から来ると、パリのボロボロの建物が心配になってくる。


以前、YouTubeNetflixアメリカやカナダで家を建てる番組を見たことがあったが、まるで土地の上に箱を乗せているだけに見えた。日本の「ビフォーアフター」を見慣れていると、どうも工作のようなのだ。

 

パリが同じとは言わない。が、もしかしてパリの建築物も折り紙感・粘土細工感満載?と思わせた事件があった。


最近知り合ったインド人の友人ニキルが
「うちで一杯やっていかないか」
と奥さんと一緒に住むアパートに誘ってくれた。

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↑その真夜中のエッフェル塔

 

私、フランス南西部出身フランス人のアレックス、ネパール出生オーストラリア人のサムの3人がゾロゾロとニキルの後をついて、夜中の高級マンション街へ。
いかにもパリのオシャレなマンションたちで、いまにもバラの香りが漂ってきそうだ。

 

大きい玄関の門をくぐって、エレベーターホールへ。
ここまでですでに私は大興奮だ。
赤い絨毯にシャンデリア。
夜中だったので明かりは消えているが、パリのマダムが住んでいるマンションのイメージ通りだ!

しかし、4人が乗るとぎゅうぎゅうな、ガタンガタン言うエレベーターに乗せられた時はアレックス、サムと3人で思わず顔を見合わせてしまった。

 

ソッコー壊れそうですごい怖いんですけど。


7階まで上がり、友人宅にお邪魔する。

すごく広い!
12畳ほどの部屋が2部屋、それぞれリビングとダイニング。
その後ろに9畳くらいありそうなベッドルーム。
ダイニングの横に玄関ホールを隔てて9畳くらいのキッチン。
トイレ、バスルームは見てないが、あるはずだ。
玄関ホールだけで7畳はありそうな感じ。

パーカーを着てくつろいでいた奥さん(どこ出身は聞けず仕舞、ヨーロッパ系白人の方?)も出て来てくれた。

 

「えええーすごいじゃん、ニキル!本当にこんなところに住んでんの?ドラマか映画みたいだよー!!私、こんなところ来れるなんて信じられないよ!」

と一人で叫ぶも、玄関で靴を脱いで(インド人も靴脱ぐんだ、初めて知った)床に上がった際、

 

むむむ。

 

靴下の下で、床の歪みを感じる。

なんだこれは。


これはあれだ、京都のお寺とか、昔のおじいちゃんの家みたいな、古民家の床のミシミシ感だ。
一歩一歩が床に沈んでいく気がする。

気がついてしまった。

しかも私何階にいるんだっけ?
7階じゃなかったっけ?

 

気になって気になってしょうがない。
椅子に座るまで残り2人の友人とウロウロしている間は、私は抜き足差し足状態だ。椅子にもそっと座る。

出してもらったジンを飲むスピードも、いつもより加速している気がする。

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↑お酒と一緒に入れてもらった氷。氷までオシャレだ。

 

オーストラリアの女の子が、もう1:00だから家に帰るよと宣言した際、正直ホッとしてしまった。
よかった、早く陸に足をつけたい!

 

帰りは階段で帰ったのだが、階段も一段一段が斜めになっていて、ヒールを履いていないのに自分の体も斜めになる。
そして歩くとボコボコする。
なんともぎこちない階段だ。
ゴージャスなマンションで夢みたいだったが、私にはお化け屋敷だ。

 

マンションの玄関ホールを出ると外へ。
大きな門が中から開けられなくて、3人でパニクる。
アレックスが数分前に別れたニキルに電話してくれる。
「ねえ、門から出れないんだけど?」


ニキルによると分かりやすいボタンがあるとのことだったが、3人とも見つけられない。
3人ともだんだん笑えてくる。
3人で高級マンションの玄関を出たところでぐるぐる回っている。マグロか!
檻から出れない。

アレックス、
「ここから出してくれー!」
と叫び始める。
それを見てサムと私でゲラゲラ笑っている。

 

どうやら玄関の生垣の中にあったようで、やっとみつけてホッとした。
3人で夜中テンションで
「うわあい!うわあい!ついに出れた!」
と3人で浮かれ立っているところに、ニキルがポコっと顔を出す。
どうやら下がって来てくれたようである。
「今、門が開いたとこだよ!ありがとー!!」
と3人、元気に挨拶。
完全に夜中テンション&酔っ払いテンションだ。
ニキルが苦笑している。

 

やっと不安定な土地から解放された。
耐震構造の建物が恋しい。

 

帰りはアレックスがUberを呼んでくれた。さすがフランス紳士。
その後アレックスはサム(女の子)に付き添ってバスの駅まで見送るとのことだ。さすがフランス紳士!

 

 

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