ニート in パリ - 行けっ森蔵!

偶然フランスはパリに移住することになった30代女子の生活。なぜか画家のベルト・モリゾに惹かれている。

フランス学生ビザ更新の悪夢⑤

7/2(火)9:30。ついにビザ更新の日。

 

前日までフランス語の書類リストを何度も確認して、不足がないようにしてきた。
大問題だった銀行からの残高証明書も、先週木曜日、金曜日と電話を入れて、結局「7/1(月)10:00まで発行します」といったメールが行員さんから来ていた。

 

7/1(月)朝。夫が出勤前に
「そういえば、りりこさんが、『ヒロコさんが不安ならビザ更新面談付き合いますよ』って言ってたよ。連絡してみたら?」と言った。

 

早速りりこさんに連絡。
「本当にいいんですか?なんか悪い気がしてしまいます。」的なことをLINEしたら、お茶目なりりこさん、
「もし良ければ奢ってください♡」
はい、そうさせていただきます。

 

7/2(火)9:00シテユニベルシティの前で待ち合わせ。
私の家の前の電車が止まってて、戸惑った。
5分遅刻。あいたたた、、、


りりこさんは白シャツにネイビーのプリーツスカート、黒髪ボブカットで、タバコを吸っていた。
地平線をみつめるりりこさんはカッコよかった!

 

「りりこさーん、遅刻すみません。」
声をかけたところ、普段のりりこさんに戻った。
「あああ、すみませんヒロコさん、吸い始めてしまって!」

 

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りりこさんに案内されるまま、列ができているドアへ。


私は予約しているので列に並ばなくても良いが、書類に不足があって再度提出に来た人は、列に並んで通してもらうのをひたすら待つしかないらしい。
予約票を受付の愛想の良さそうな黒人のお兄さん(『最強のふたり』に出ている、ドリス役の俳優さん風)に見せる。


その先は小さくて細長い部屋に入れられる。ベンチに座って待っている学生風の男子たち、テープで仕切られた列に並ぶ女性たち。

りりこさんに導かれ、列に並ぶことに。
20分ほど経過。

 

全身白ジャージ(90年代ラッパー風)に身を包み、金髪と茶髪が混ざった髪を頭のてっぺんでハーフアップ(これも90年代っぽい)にした女の子のデスクへ。カーラ・デルヴィーニュを愛想良くした感じでかわいい。
私がビザ更新で緊張していなかったら、目の保養だったのに。
今楽しむ余裕はゼロ。

 

リリコさんが「ボンジュール!」と言って話を始めてくれる。


カーラ(勝手に命名)に言われるままにどんどん書類を出していく。
「パスポートのコピーは?」

え、コピーも必要なんだっけ?書類リストに書いてなかった気がするけど。

 

りりこさん「じゃあ、隣の部屋にコピー機があるから、コピーして来ましょう。」
一人でやってみようとするもコピー機の使い方もよくわかんない。
リリコさんが横に来てくれた。
「あ、前の人がお金入れたままにしてくれてるみたいですよ。ラッキー!じゃあ、パスポートとビザのページをコピーしてください。」

 

カーラ(勝手に命名)は別の男性の対応をしている。
しかし、隣の部屋に行くついでに、りりこさんを見ながら「ごめんねー!今対応するからね!」とニコニコ。
男性が手間取っている間も、横から顔を出してりりこさんに「ちょっと待っててね!」とニコリ。
おお、なんかカーラ感じ良いよ。
珍しい。

 

私たちがデスクに復帰。
「お待たせ!」カーラはニコニコしている。


書類チェックの続き。
「一緒に住んでいる人のパスポートと滞在許可証のコピーある?」
え、ない。
それ、書類リストになかったけど。

 

でも確かに銀行口座を開く時にも使った。
で、その経験があったから「私は彼と住んでます」的な書類は、その当時のを真似て自分で作った。
そっか、「私は彼と住んでます」的な書類は、彼のパスポートと滞在許可証とセットなのか。

 

「じゃあ、相方さんにもらいましょう。」とりりこさん。
どうやら、ほかの書類一式も全てコピーが必要だったらしい。
「大丈夫ですよヒロコさん。今日中に対応してもらえますから。」

 

りりこさん、今度はカーラに感じ良く依頼。「わかった、足りない書類は後で持ってくるね。確か、予約って1日有効だったと思うんだけど、書類準備できたら、受付に並んで予約票見せればいいかな?」
カーラ「受付に名前言っておいてくれればいいわよ。」
りりこさん、カーラの通訳。「どうやら、今日中に帰ってくれば、列に並ばずにこのお姉さんが直接対応してくれるみたいです。」


うっそ、すごすぎ。

りりこさん、カーラに対し「うわあ、優しいのね!」


カーラ、デスクから出てきて「受付一緒に行こう」とのこと。

受付のオマール(勝手に命名)にカーラ話しかける。
「この子、また戻ってくるから入れてあげてね」


オマール「予約票は?」
私、手元の書類をガサゴソ探す。え、ない!
バックも開いて探す。なんでないんだ?
りりこさん「ヒロコさんだいじょうぶですか?」
いやあ、大丈夫じゃないかも。


その時、カーラ「あ、そーいや、私のデスクの上かもね!」

走って取ってきてくれる。なあんだ、よかった。
オマール、手元のメモに私のフルネームを書く。
「この子(カーラ)のために特別だよ!」


オマール「いつごろ戻ってくる?」
りりこさん「遅めの時間を言っておいたほうがいいです」
私「じゃあ、12時で」
りりこさん、カーラとオマールに対し、「12時ってまだ空いてるかな?昼休憩かな?」
「いつでもいいよ〜!」とカーラ。
オマールも「この子ならいつでも空いてるよ〜。」カーラが殴るフリをしてじゃれてる。

仲良いなあ。その後も二人の内輪ジョークが続くが、聞き取れない。
とりあえず二人にお礼を言って、一旦外へ。

 

りりこさん「じゃあ、相方さんに連絡してみましょう。」
夫にLINEで電話。出ない。
「じゃあ普通に電話するか。」

私が真顔なのを見てりりこさん、「ヒロコさん、大丈夫だから。落ち着いて。なんとかなるから。」
夫、出ない。
仕事だから仕方ないか。
でも今パスポートのコピーが必要なのだ!

 

LINEの4度目のコールで出てくれた。必要事項を伝える。Gmailで送ってくれるとのこと。ふう。


りりこさん「隣の図書館にネットと繋がってるコピー機があるので、使いましょう。」
「なんで知ってるんですか?」
「私も初めてやった時に半泣きでコピー機探して歩いたんですよ。数時間歩き回って人に聞きまくって見つけたんです。私の当時の苦労が今生きるとは!」

すげえ。

 

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りりこさんに案内してもらい、コピーカードも買って、印刷。

途中自分のGmailのパスワードを忘れて、りりこさんのGmailを借りたり、印刷中に別の女性に勝手にパソコン使われて、勝手にネットの画面閉じられて、今度はりりこさんがGmailからログアウトできなかったりしたが、何とか印刷・コピー完了。

この時点で、私だけではビザ更新できなかっただろうと思えてくる。

 

11:30ごろ。
また受付でオマールに挨拶。

オマール「ヤマモトヒロコだよね?」と。フルネーム覚えてくれてた!

 

小部屋に戻ると、りりこさんがカーラのデスクに顔を出して手を振りながらニコニコ「戻ってきたよ!」
列を飛ばして入れてもらえる。
「よおし、戻ってきたか!」とカーラもニコニコ。
「じゃあ、書類一式ちょうだい。」
再度カーラがチェック。
受付票を出してくれ、「後はこの書類に記入して隣の部屋で待っててね。」
りりこさんと私で「どうもありがとー!」と笑顔でお礼。

こんなに感じ良くしてもらえるなんて奇跡。


さて、小部屋でりりこさんに書類の書き方を説明してもらう。


同じ部屋にいた日本人女性が来て「あのう、質問していいですか?」とりりこさんの元へ。

私とその院生の女性に解説するりりこさん。
書類は裏もあった。

「これって、学校で学ぶ動機書けってことですか?」
「そうですね。」
「うーん、わかりました。留学業者に書いてもらったことがあるはずなんで、探してみます。」私、携帯でメールのやりとりを探し始める。
「良ければ私、書きましょうか。」とりりこさん。


えええええええーいいの!?


「書きたい内容教えていただければ。あまり長くなる必要はないです。」
私がしゃべる側からスラスラと筆記体でフランス語を綴るりりこさん。

 

こんなの、私一人じゃ無理だろ!!

 

私の書類提出の順番は12:30ごろ回ってきた。

デスクには黒人の高校生風の男子と、黒眼鏡のおばちゃん(60代くらい)が座ってる。
書類一式を渡す。

 

おばちゃん「これ、なんの学校の書類?」
私「今通ってる語学学校の書類です。」
おばちゃん「日付が古いじゃん。」
私「先週取った(在籍証明の)書類なので。」
おばちゃん「それじゃ意味ないわよ。」

「学生証があるから、それでもいいですかね?」とりりこさんに聞いてみる。
「いいと思います。またコピー取ってこいって言われると思いますよ。」
りりこさん、おばちゃんに「彼女、学生証持ってます。」
「じゃあコピー取ってきて。」
「じゃあ取ってきてください。」とりりこさん。
私が立ち上がると、おばちゃん「あなたはここにいなさい。あなた(りりこさん)が取りに行きなさい。」
「え、私が取りに行けってか。」りりこさんが珍しくイライラしている。
コピーを取ってきてもらってしまった。


おばちゃん、黒人男子に仕事を教えながら、昔のデッカいパソコン時代のネット画面みたいな白黒コマンド画面で必要事項入力。

おばちゃん「あなた、ジュエリー学校の後はどうするつもりなの?」

さっきりりこさんに動機を書いてもらった時「フランスで働きたいと書くと、不法就労を疑われるので書かない方がいいです。」とアドバイスをもらっていた。でも実際はフランスで働けたら夫とずっと一緒にいれて理想的。
りりこさんの方を向いて確認しようとすると、おばちゃん、「あんたがこれ書いたのよね?なんで自分で答えられないの?彼女(りりこさん)に聞いても仕方ないでしょ。」
りりこさん「あー、このおばちゃん感じ悪いですね。ハズレな人を引きましたね。」と慰めてくれる。

 

そのほか、おばちゃん他にも何かほしいらしく、私が書類をゴソゴソ探していると、りりこさん、「もう別の書類をチェックし始めて気が散っているので、対応しなくて大丈夫です。」
そーなんだ。
やっぱフランス人って気まぐれなんだな。

 

最終的には90年代なパソコンの画面で入力内容を確認。
電話番号を聞かれたので口頭で答えようとするも、りりこさん「携帯の連絡先見せた方が確実ですよ。間違えられたら連絡来ないんで!」

 

こんなの、自分でわかるはずがない。

 

無事、一時的な滞在許可証が発行される。

「いやあ、もう、りりこさんいなかったら無理ですよお。」
「私、一人でやりましたけどね。」とりりこさん苦笑い。

 

いや、絶対一人は無理。
こんなスムーズに問題解決できなかったはずだもん。

 

ゴタゴタがあったにも関わらず、12:45には手続きが終了した。
奇跡。

 

りりこさんとランチ。

人生談に花が咲く。

元気になった。

りりこさん様様だ。

 

さて、語学学校行きますか。

 

 

 

 

学生ビザ更新のために今回提出したもの:

1. “Your VLS-TS long stay visa validation has been registered”
これのフランス語版。

フランスに来た日にオンライン上で移民登録した後に発行されたPDF書類。

自分用に両面印刷したのをたまたま手元に取っておいていたので提出できた。
りりこさん曰く「フランスでは公的な書類は裏表印刷はダメです!」
おばちゃんにはそこは突っ込まれなかった。ムラがあるおばちゃんだな。

 

2. 日本の戸籍謄本のフランス語法定翻訳
りりこさんに法的翻訳会社(Tktrad)を教えてもらって取得。一通65ユーロ(未婚者)。

 

3. 自分のパスポートのコピー

 

4. 自分のビザのコピー

 

5. 学校の在籍証明
私の場合は語学学校の学生証のコピーと、ジュエリー学校の入学許可証。
おばちゃんに「あなた、この(ジュエリー学校の)許可証の住所、日本のじゃないの。」と突っ込まれる。
「学費はフランスに来る前に払ってて、その時に出してもらったんで。」と言うも「フランスの住所じゃないとダメよ。」とのこと。

でも渋々受け取ってもらった。

 

6. 銀行の口座残高証明書
LCLピラミッド支店に口座を作ったので、そこへTransferwiseというネットのサイトを使って(日本の口座から)送金。
4000ユーロ近く入れました。

今年の9月からジュエリー学校に通い、来年の9月までなので、1年間ちょっとの滞在用。

必要書類リストでは、月615ユーロ×12ヶ月分の預金が必要と記載あり。

ネット上では、自分が住居費を出していない場合、月315ユーロ×12ヶ月の資金でオッケーとのこと。

夫からの小切手問題があったので、小切手振込を保留したままの残高証明書。
金額が足りないか不安でしたが、何も突っ込まれませんでした。

 

7. 公共料金の明細直近3ヶ月分
ネット/電話料金の明細3ヶ月分を夫に印刷してもらいました。

 

8. 同居人のパスポートコピー
私の場合は夫に住まわせてもらっている(法的には「ホームステイ状態」か)ので、これが必要でした。

 

9. 同居人の滞在許可証のコピー
私の場合は夫に住まわせてもらっている(法的には「ホームステイ状態」か)ので、これが必要でした。

 

10. 「彼と一緒に住んでいます」という一筆
夫とは法的には結婚していないので(事実婚)、これが必要になりました。


必須書類リストにあったのに、結果的に提出しなくてよかったもの:
海外旅行保険留学保険の保険証
おばちゃんが私の移民登録の書類をチェックした際、「あなた、国民健康保険に入ってる?」と聞いてきました。
そもそも、りりこさんに1ヶ月前に会った際に、健康保険はこちらから申請しないと入れないことを初めて知りました。

しかも、加入に一年かかるとのことで(!)ビザ更新に間に合わない!

8月末までの語学学校分の海外旅行保険は両親に頼んで加入していました。

念のため、9月から一年分海外留学(医療)保険に加入しました。
おばちゃんには「いえ、国民健康保険には入っていないです。」と伝えると、ブツブツ文句を言いながら、それ以上は聞いてきませんでした。

 

やっぱムラがあるおばちゃんだな。