ニート in パリ - 行けっ森蔵!

偶然フランスはパリに移住することになった30代女子の生活。なぜか画家のベルト・モリゾに惹かれている。

ジュエリー学校の最初の1週間終了

ジュエリー学校の最初の1週間が終わった。


長かった!
最強に疲れた。

 

悟り世代の台湾人女子(仮に「ショフェンちゃん」としておく)によると、
「全てのことに興味を持てば1週間は早いよ〜!私なんか、この1週間早く過ぎたなーって思ったよ!」
とのこと。

 

はいはい、十分に興味を持っていませんでたねえ。すみませんでしたねえっ!

と、24歳女子に逆ギレしても仕方ない。

 

午後から3時間のフランス語の授業@語学学校に慣れてしまった私に、9:00 - 17:00の学校のスケジュールは非常にキツイ。


そして週3日は5階の教室。
「エレベーターは教職員と外部のお客様向け」とのことで、生徒は階段を強制されている。
フランス語では一階は「レ・ドウ・ショセ」と言い、日本でいう二階がフランスの一階なので(ややこしい)、実質6階まで登ることになる。


これが地獄。
教室に着くまで息が切れ、体は汗でビショビショになっている。


月曜日の授業は前回のブログ通り、塗り絵。

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火曜日の授業は粘土。

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水曜日は糸鋸。

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木曜日は数学(デッサンの授業で、コンパス多発)。


金曜日は糸鋸。

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ということで、なんだか美術と技術の授業を足したかのようなラインナップ。


しかも、先生たち、教師というよりかは職人気質なのか、今後のカリキュラムを教えてくれない。


かろうじて木の先生が美術史の授業の際に、「11 の時代区分(古代、エジプト、中世、ルイ14世時代、などなど)を、時代をたどってやっていくよ」と予告してくれた。
この先生は確かデッサンの授業の時も「来週は多面的な図形の書き方、その次は〜」と最初の5回くらいの展望は教えてくれた。

 

そのほかの先生は今後何を教えてくれるか、全く情報をくれなかった。


- その科目がなぜ存在するのか

- 今後ジュエリー関係の仕事をするとしたらどんなシーンで役に立つのか

- 仕事では実際どのような場面で使われる技術なのか

- 国家資格試験ではどこが要になるのか

などなどの情報も、もちろん皆無。


「とりあえず、絵の具/蜜ろう粘土/金属板と糸鋸、を手にとって課題をやってみろ」という無茶振り授業。
良く言えば「とりあえず生徒にやらせた上で、できていないところを教えたり、質問に答える」スタイル。
日本の授業とのギャップを感じる。


日本の美術や技術の授業でも、さすがにやり方は教えてくれたような気がする。
こういうざっくり感満載の授業を体験すると、自分が日本人であることを実感する。
毎日毎日、
「ちょっと!ちゃんと教えてくれよ!やり方分かんねえよ!」
と逆ギレしそうになった。


火・水・木の先生は外国人である私と台湾人のショフェンに対し、
「わからなかったら何度でも聞いてくれていいからね!」
と言ってくれた。

月の先生も、
「分からなかったら聞くんだぞ」
とみんなに念を押していた。


金曜日の先生はぶっきらぼうなオヤジで、質問しても一言二言で回答するだけ。
金属板をのすような機械が今日出てきたので、
「何のために使うんですか?」
と聞いたら、(手で)「凸凹を直す」的なジェスチャーをされた。

それくらい、さすがに分かるし!

 

まあ、私の質問もざっくりしすぎたのかもしれない。
でも、細かく説明するフランス語力はまだない。

 

っていうか、フランス語だけの授業を7割分かるだけでも、褒めて欲しい。
と逆ギレしたくなる。
・・・

待てよ、このオヤジさんの授業だけは全く聞き取れていないんだった!
ボソボソっと早口で喋るので、何がなんだか分からないし、質問しても簡単な単語で言い換えてくれたりはしない。


なんて不親切なんだ!

 

ということで、今日は分からないことだらけ。
先生が別のクラスの生徒や、仲間の先生と話し込んでいることをいいことに、ネットで情報を調べたりしていた。
が、それでも、例えば「コンパスで描いたお花」が自分で描けない。
それっぽいのはネットに出てきたけれど、ピンタレスト上の画像だけしかなかったりで、やり方は出てこない。
「こういうのが得意な相方に聞こう!」と今日お休みの相方にLineするも、気がついてもらえない。
Line通話のワン切りしたけれど、ダメみたい。
隣のショフェンに「どうやるのかな?」と英語で聞いてみたが、気がついてもらえなかった。
イライラしながらネットで調べたり、自分で円を描いてみたりしてもやっぱりよくわからない。


授業終了15分前に、何を思ったのかショフェンが
「そのお花の描き方はわかるよ〜」
とざっくり教えてくれる。

 

なんだよ、もっと早く言ってよ。
と、ひねくれたくなる。

 

 

かれこれ1週間が終わった。

 

これだけ何も教えてもらえないと、本当に一年で基礎が身につくかすらも怪しい。


ちょっと糸鋸で切った線が歪んだり、ちょっと絵の具がイラストの線からはみ出るだけで「汚い」と言われたことで、製菓学校コルドンブルー時代を思い出してしまった。
あの時もケーキのデコレーションが汚いとか言われたっけ。
やってもやっても上達しないし、うまくいかないところばかり目について、ケーキを作るのが嫌になってしまう。
相方には、
「じゃあ、できなかったからパティシエが嫌になっちゃったってわけ?」
と突っ込まれたが、それだけじゃない。


何度やっても十分にならない状態は、どうもギリシャ神話の「シーシュポスの岩(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/シーシュポス)」を思いこさせる。

神からシーシュポスに与えられた罰は、巨大な岩を山頂まで運ぶこと(絵画では、シーシュポスは頭の上に岩を掲げた状態で描かれる)。
山頂手前まで来ると、岩はその重みで転がり落ちる。
シーシュポスは永遠に岩を山頂まで運び続ける。

 

自分の作品が何であれ、とにかく完璧な状態にしようと時間をかける(しかし絶対に完璧にはならない)のは、このシーシュポス状態だと思えてならない。

コルドンブルーで「シーシュポス状態」があれだけ嫌だったのに、何故、同じ職人の世界であるジュエリーに関わっちゃったのか、と自分を責めた。

 

でも、そもそもの思考は、

 

相方のフランス行きが決まる

フランスで仕事探す

仕事みつからない

(人に話を聞いた後)ビザを取りやすい語学学校の学生でビザをとることにする。

(留学エージェントとの相談で)へえ、趣味の留学もできるのか。ふーん。おっ、ジュエリー学校っていうのもあるぞ。面白そう。アクセサリー好きだし。

国家資格も取れるらしい。これ、かっこいいじゃん。インターンとかあったら、卒業後仕事もみつかるかな?

(来仏後)「フランスで就職するなら、何かしらの学校の卒業証書が必要」と聞いた。ジュエリー学校でバッチリじゃん。

(来仏後)「フランスで就職するなら、国家資格持っているのは有利」と聞いた。ジュエリー学校でバッチリじゃん。

就職したらビザ、就労ビザで更新できるじゃん。

 

という思考だったのである。

 

最終的に

- 自分のやってみたいことと
- 自分のフランスでの仕事になりうること
- 自分のフランスでのビザ

が重なったのだ。

 

 

しかし、この「やってみなはれ」→「放置」スタイルの学校の授業でどこまで自分が成長できるのか。
私は徹底的に情報を知って、物事の仕組みを知らないと理解できないタイプなのだ。
「とりあえずやってみる」方法で、社会人初年度〜2年目でどれだけ失敗したことか。

 

社会人の暗黙のルールを知らないせいで、先輩・上司に叱られまくった。
1時間半教室に閉じ込められて叱られたこともあるし、
「明日からもう来なくていい」
「お前は考える力がない」
と言われたことも。
思い出したくもない。
よく鬱にならなかったものだ。
でも、事前に社会人のルールを知っていれば、そこで失敗することはない=仕事の学びの障害はない=早く成長できる。


私は「知は力なり」を本気で信じている。
教えてもらえれば/知っていれば、それだけ早く効率よく成長できる。
右も左も何も知らない状態で、改善方法や、次の打つ手を考えられるものか。

「知らない状態」が自分の限界を早い段階で作ってしまう。
あとはもう、自分が目の前の問題や質問に気がつくのを待つしかない。
それ自体、自分の限界との戦いだ。それが必要な時もあるんだろうけれど、初心者にはその限界は必要ない。
最初の小さなハードルが、練習するごとにどんどん勝手に高くなって、超えられなくなるぐらいなら、そのハードルはない方がいい。

 

それに、せっかく経験豊富な先生がいて、授業料を払っているんだから、教えてくれるべきなのでは。

 

この学校に通っていても、何も身に付かない!

 

と、愚痴ばかりになってしまったのだが、要は、控えめに言えば、フランスでの将来の仕事に暗雲が立ち込めた状況だ。
大げさに言えば、人生の危機だ。

 

「パティシエの夢を諦めた時にやった、開店した場合の売り上げ予想とか利益とか、ジュエリーの場合もやってみたの?「将来の仕事にする」とか言って、見通したてないで決めたの?」
「検討が甘かったのでは」

「そもそも、面白そうだからと軽い気持ちで始めたんだから、こうなっても仕方ないよね」

と相方に言われ、何も言えない。

 


でもとにかく今はこれを叫びたい。

 

一年120万円の授業料、返せ!!

 

 

 

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