ニート in パリ - 行けっ森蔵!

偶然フランスはパリに移住することになった30代女子の生活。なぜか画家のベルト・モリゾに惹かれている。

パリのジュエリー学校での修行

ジュエリー学校に入学して1ヶ月。

大変だった!!

 

最初の2週間は学校に通うだけでクタクタ。
土日は家に閉じこもって、フランス語をひたすら避ける日々。

 

前回のブログで書いたように、火曜日と金曜日の先生がクセが強く、苦労。

 

2週間前、金曜の先生マーク(おそらく60代くらい)は朝出勤してから私の糸鋸で切った金属片を見て、

 

「あーあ。なんだこれは?」


「お前のメガネ、見えてんのか?俺のメガネかけてみろよ。」

 

強引に自分の老眼鏡を渡してかけろと強制してくる。
かけてみたが、もちろん度が強すぎてぼやぼや。
「何も見えないんですけど。」
「いや、それでいいんだ。見えるはずだから。」


めちゃくちゃだな、このオヤジ。

 

「糸鋸の使い方見せてやるよ。」私の席に座って作業を開始。「こうやって、優しく、ゆっくり切るんだぞ。」
「ウィ(はい)。」
「さっきからウィ、ウィとか言いながら俺の説明を聞いているが、全然わかってねーじゃねーか。ウィ、ウィじゃねえよ。」

「今はスピードより、綺麗なものを丁寧に作るのが大事なんだ。お前、3つも作ったみたいだが、どれも出来が同じで進歩してねえじゃないか。」

 

そんなこと言われてもねえ。

改善するやり方が分からないから、とりあえずひたすら練習していたのに、いきなり進歩しろと言われても。

 

静かに受け止めていたら、本人ヒートアップ。


うーうー唸りながら私の首に触り、絞める仕草をしながら
「次回またこんな汚ねえ作品を見せてきたら、殺すからな!」

 

ん?何?
ビックリして動けない。
今、私の首に触った!?

 

私の顔を見て、さっと笑顔になり、
「おいおい、ちょっと待てよ、お前のメガネ、歪んでんじゃねえか。」
「ほれ、やっぱ歪んでる。」私のメガネを勝手に外し、「お前自分で見てみろよ。」

このクソオヤジ、信じられない。
とりあえず平静を装う。

 

「そうですけど、ずっとそうでしたよ。日本で作った時から。」
「日本からずーと歪んでたのかよ。アハハハハ。」
「直してもらえよ。見えてねえから金属を切れねえんじゃねえか。」

「なあ、お前ら(周りの生徒にメガネを見せて)、このメガネ、曲がってるよなあ?アハハハハ」
生徒もオヤジに合わせて笑う。

 

本当に信じられない。
60代くらいの熟年先生が生徒を巻き込んで若い外国人生徒をいじめるなんて。


「私の顔はシンメトリーじゃないんですよ。」
オヤジ、真面目な顔でやっと黙った。

 

隣の台湾人のショフェンに「信じられない!」と愚痴る。
「まあ、先生はメガネに注目してたみたいだけど。こうやって切れば?」
とコツを教えてくれる。

まあ、見るだけじゃわからないんだけど、ありがとね。

しばらくキレてると、
「マークは冗談のつもりだったんじゃないの?気にすることないよ。」

 


でもさあ、生徒の首に触って「殺すぞ」って脅すのはもちろんのこと、他の生徒の前でバカにするのはどうなの!?

 


(ウチの両親が良く言うように)私が被害妄想なのかと思って、仲良くなった語学学校の先生(クロエ)にチャットで愚痴る。


メガネを人前でバカにしてきたところはあまり気にならなかったみたいだったけれど、首に触ったことはひっかかったらしく、

「嘘でしょ!?先生が生徒に不要に触るべきじゃない。ヒロコ、大丈夫!?誰かに言った方がいいよ。」

 

クロエが毎日のようにチャットをくれ、私が大丈夫か、他の先生か本人かにきちんと(嫌だった、と)伝えた方が良いとアドバイスくれた。
「メールで伝えるつもりなら添削してあげるから、言ってね!」

温かい気遣いが心にしみる。
現地の人もおかしいと思ってくれててよかった!

 

どうするか迷ったが、たまたま英語の授業の先生(マリー)と授業後に雑談中、その先生の話になった。

「へえ、マークに習ってるの?すごいじゃない。フランスのジュエリー界ではトップよ!」

マリーのことはあまりよく知らないけれど、試しに打ち明けてみた。

 

「そうなんですか?この前、私の作品を見せたら、「こんな汚いやつ、今後見せてきたら殺すからな!」って首に手を当てて脅されたんですよ。メガネが曲がってるから見えないんだ、って言って他の生徒に私のメガネ見せながら笑ったりとか。」

マリー、表情が曇る。明らかに動揺してる。
「え、そうなの?おかしいわねえ。じゃあ、私の知ってるマークじゃないかなあ。確認するわね。」

 

そばにいたショフェン、「ヒロコ、あれは冗談だったんだってば!もう、気にしなきゃいいじゃないの!大げさでしょ。」

え、っていうか、一緒にいる友達として、(仮に共感できなくても)とりあえずうなづくとか、慰めるとか、できないわけ?

これは英語で言うFrenemy (フレネミー、友達/敵)ですか。

 

落ち着けヒロコ、彼女は24歳のお子ちゃまだ。

腹立てることはないぞ。

 

 


今週木曜、朝ばったりマリーに会う。
「マリー!ボンジュール!」
少し雑談しているとマリー、声を落とし、
「ヒロコ、あのこの前の件、やっぱり私の知ってる先生(マーク)だったの。だから、別の先生にあなたのこと伝えたの。冗談だったんじゃないか、本人にあなたを傷つける意図はなかったんじゃないか、という話になったんだけど、生徒の姿勢を正す以外に不要に触るのはやっぱり良くないから、本人(マーク)に伝えるってことになったわ。」

 

おおお、ここまで動いてくれるとは思わなかった。
英語の先生マリーに大感謝。

 

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事件後、2週間経ったが、毎週金曜日、クソオヤジのマークは私のことをほぼ無視。
でも考えてみると、マーク、そもそも私の名前を覚えてすらいない。


この前は、生徒が置き忘れた水のペットボトルを本人に手渡しせずに投げてたし(本人以外の生徒にも当たりそうになった)。

昨日は別の先生が何かからかったら、ドリルを向けてたりした。

普通にヤバイ先生なのかも。


最近よく話すジョージア(旧グルジア)人のダンは、
「マークは冗談でやったんじゃないの。ヒロコ、あまり気にしない方がいいよ。慣れるしかないよね。」
と言いつつ、
「まあ、僕もマークがペットボトルを生徒に投げつけたのはビックリしたけどね。」

 

ですよねえ!!

 

ボトルの中に結構な量の水入ってたぞ。

生徒たちの頭に当たって大怪我になったらどうするんだよ。

偉い職人だからって、何をしても許されるっていうのは倫理的に良くないと思う。

 

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マーク以外は先生も生徒も親切な人が多い。
クラスの何人かは私がフランス語を理解できないと思っていて(若者のしゃべるスピードは速すぎ)話しかけてくれなかったり、目を合わせてくれなかったりするけれど、まあ、仕方ないでしょう。

 

授業内容はアート関連何もやったことのない私にとっては厳しいけれど、周りの人が良い人が多いなら、大丈夫。

 

今週から数学が始まったけれどSPI(新卒就職試験の際に使われる基礎学力テスト)レベルだし、

英語授業は英検3級レベル(中学卒業くらいのレベル)、

フランス語は中の上(中級レベルの上のほう)くらい。

なんとかなる。

 

毎日同じ作業で飽きるし、(先生があまり教えてくれないので)分からないまま(文字通り)手探り作業だが、自分のマインドをポジティブに保てば何とかなる。

自分で「もしかしたら楽しいかも」と思って入学したんだから、もうこうなったら楽しむしかない。

 

 

でもそれが一番大変だ(苦笑)。
毎日精神修行だ、、、

 

 

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