ニート in パリ - 行けっ森蔵!

偶然フランスはパリに移住することになった30代女子の生活。なぜか画家のベルト・モリゾに惹かれている。

パリのクリスマスとスターウォーズと

日本時間ではもう2020年になったようだ。

フランスはまだ12/31の午後16:00。

そしてパリの公共交通機関ストライキは続いている。

 

年末に日本に帰るのは飛行機代が高かったのでやめた。
2月末に学校の休みがあるので、そのタイミングにしようと思う。

 

そもそも、私は日本式の年末年始が大嫌いだ。
何だか湿っぽい。
12/31は紅白歌合戦はまあ良いとして、『行く年来る年』でしんみり一年を振り返り「鐘の音で煩悩を捨てる」。
世の中の苦しみに思いを馳せ、新しい一年を迎える。
朝は静まり返った近所を散歩して初詣に出かけると大体混雑している。
福袋を買いあさる人々の熱気は好きだ。
でもなんだかやっぱりしんみりしてしまう。

 

 

私は実は終わりを迎えるのは好きである。

 

どんなに苦しかった学校生活も会社生活も、最終日になれば皆んなが優しくなって、良い思い出だけに集中して、
「あー、何だかんだ言っても、割と良かったかもな」
なんて思える。
(いじめを受けた中学時代は卒業式はひたすらホッとしたのだが。)
大抵、終わりよければ全て良し、だ。

 

が、年末は違う。

ウチの母の好みで見ていた『行く年来る年』は人々の苦しみに焦点を当てている気がする。
なんだか毎年見るたびに生きているのが辛くなる。
まあ、夫と一緒に暮らしだしてからは夫が私との年越しを好むため、母と年末を過ごすことはなくなった。母は私抜きの年末を最初は寂しがっており、私も心苦しかったが、『行く年来る年』をやめられるのは嬉しい。
その代わりに夫が好きで見ていたのがNHK深夜番組の2355だ。
お笑いの人が画面上でおみくじをやったり、視聴者からのかわいらしいペットの写真を見たり、トビハゼの動画とともにゆるい話が流れたり、する番組で、とにかくユルいのである。
でもそれも(私にとっては)かえってしんみりしてしまったりする。

 

 

 

聞いたところによると、フランスのクリスマスと年越しは日本の真逆。
クリスマスは家族とゆっくり過ごす (=日本の年越し)。
年越しは友人とワイワイガヤガヤ街に繰り出して大騒ぎする (日本の場合は恋人同士だとは思うが)。

この冬休みの一週間は学校の授業の復習や、来年のCAP(中等教育終了の国家資格)対策をしていたが、25日は夫の応援も兼ねてヤマザキフランスのお店へ。
お茶とケーキで夫のシフト終わりを待ち、夫の職場の女の子と一緒に帰宅。

実は24日にヤマザキフランスにクリスマスケーキを買いに行ったのだが、高級区であるパリ16区は大盛り上がり。観光客と地元の高級層がクリスマスの買い物をしていたのかも。

 


25日は真逆で街はすっからかん。

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お店もパン屋以外は閉まっている。
ゾンビタウンとはこういう街か。
ヤマザキフランスのカフェ内はフランス人ご老人の常連と、外国人でお客が絶えなかった。
外国人は25日に空いているお店を探しに来たのかもしれない。


ヤマザキフランスのカフェでは在仏日本人のおば様が愚痴大会。
職場?近所?で中国人からもらった中国土産食品の不潔さ・怪しさを語っている。

同じ日本人として見苦しい(聞き苦しい)のでやめて欲しい。
耳栓をし、黙々とCAP対策をしていたが、なかなかうるさい。

 

あー、夫の応援にうるさいカフェに居座るなら、ノイズキャンセリングのイヤホンも買った方が良いかもな。

 

夫が上がるタイミングでお会計をしようとしたところ、フランス人の若い男性スタッフが身振り手振りで
「お会計はいいよ、こっちでなんとかしておくよ」的なことを言っている。
「本当にいいのかな?」と夫の方を見たが、
夫も「いやいや、さすがにダメでしょ、僕が払うからさ!」とスタッフに言う。
スタッフは大手を振って私たちを送り出す。
「今日もお疲れ、ナオさん!メリークリスマス!」とフランス語で言っている。
夫は苦笑しながら感謝している。夫「お店の売り上げ減っちゃうじゃん、、、」と呟く。

ヤマザキフランスのスタッフさんには年末か新年に何か持ってくか、、、

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一昨日は、家で学校の復習と30分近所ランニングの生活に飽き飽きし、一人で近所の映画館にスターウォーズの最新作を見に行ってきた。
今回作も、ディズニー配下での新しいスターウォーズシリーズの他の例に漏れず、(英語の)メディアで散々酷評されていた。
「監督のJ.J.アブラハムはファンに媚びすぎ。アクションに頼りすぎ。別の監督による前作エピソード8はオリジナリティがあって良かったのに、J.J.アブラハムに戻った今回作はまた展開が読める話で面白くない」
「最近の若者俳優は演技が真面目すぎて面白くない」
などなど。

どうなることかと思ったものの、日本で映画を見ると1800円するが、フランスで映画を見ると12ユーロ(約1464円)で安上がりなので見てみた。

 

 

結果、面白かった!!

 


なんだ、全然良いじゃないか!

「ファンに媚びてる」という表現もできるのかもしれないけれど「J.J.アブラハムが一スターウォーズファンとして最高と思える夢の展開にした」という解釈もできるのでは。
スターウォーズ愛を感じた。
エピソード5,6に出てきた、ハンソロのお友達のランドーもオッサンになって再登場。
出てきた途端、スクリーンに安心感をもたらせてくれた。
大先輩感が出ていて良かった。
終わりのシーンにはちゃんとイウォークも出てくるし、議会みたいな建物も出てくるし、昔のシリーズへのオマージュが所々感じられた。
カイロ・レンとレイの戦闘シーンやフォースのぶつかり合いの図は凄く綺麗だった。

レイの手からビカビカっと光線が出た時の近代西洋絵画的な綺麗さは2日経った今も覚えている。

 

全体のメッセージである「(血筋や経歴関係なく)お前がなりたいものになれ」という自己啓発的なメッセージも良かった。
将来への一抹の不安を感じていた私も、映画が終わった頃にはすっかり気持ちが前向きになっていた。
ロードオブザリングファンとして、メリー役の俳優さんが出ていたのは私にとっては嬉しいおまけだった。

 

 

エピソード7で私が全く共感できなかった悪役のカイロ・レンは、エピソード8で暗い過去が語られた結果、

「元々善なのに、悪側に大きく揺れる心理」

が観客にとって理解しやすくなった気がする。その心境のさらなる変化が今回のエピソード9で見られたのがすごく良かった。


カイロ・レンはエピソード7ではただ単に

「アンガーマネージメントが出来ないヤバイヤクザ」

みたいに見えたけれど、2エピソードを経て、キャラとして成長していた。
今回は良い意味でカイロ・レンがヤバイ。

 

というか、俳優のアダム・ドライバーが最高に良い!
エピソード7を映画館で見たとき、ストーリーにものすごい違和感を感じる中、
「この人、どっかで見たことある」
と首をひねっていた。


後日、同時期に見ていたドラマの”Girls”の、アクの強い・かつ社会性がない彼氏役をやっていた。

その主人公の彼氏役でのアダム・ドライバーが強烈で、
「この人がカイロ・レンもやってるのかあ」
と不思議に思ったのを覚えている。

 

それからのあの独特な表情と声!

久しぶりにまたYouTubeでインタビューを見まくった。
そっか、ジュリヤードに一度落ちたとか、3.11後に使命感を感じてアメリカ海軍に入団しようとしたけれど、トレーニング段階で怪我をして除名されて途方にくれたんだったっけ。

人生色々体験している人なんだな。
どのインタビューも大体本人の語りがぎこちなくて、余計興味が湧いた。

 

あんなにスクリーン上での存在感があるのに、なんでインタビューだと途端に話し下手な若者になるんだ!?
ハリウッドっぽくない。嘘くさくない。
キザじゃない。
生真面目で愚直な感じがする。

 

面白い。


ただの個性派イケメンじゃない。
「イケメン」なんて言葉はアダム・ドライバーには軽すぎる。
この人は本当に役者という職業での「職人」なのかもしれない。

 

彼の演技を見れば観るほど、荒削りというか、重いというか、生々しい感情が観客にぶつけられるのを感じる。
Netflixで「マリッジ・ストーリー」を見たが、これもアダム・ドライバーの演技が最高だった。「演技していないんじゃないか、ドキュメンタリーなんじゃないか」と思えるほどだ。
もしかしたら脚本がないところからの、監督と俳優たちで作り上げるスタイルも良かったのかもしれないし、脚本を書いた人や、監督のストーリーのまとめ方が良かったのかもしれない。
だけれど、スクリーン上に生々しく感情を再現するのは俳優だ。

 


アダム・ドライバーは、退役アメリカ軍人向けに演劇を無料で提供する活動を、ハリウッドで売れる前からやってる。
軍人のPTSDを芸術活動で軽減したいという気持ちで始めたようだ。

筋が一本通った生き方をしているんだな。
カッコいい。
自分が男なら、こんな男になりたい。

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今回のスターウォーズでは、ヒロインであるレイ役のデイジー・リドリーもやっぱりカッコ良かった!
やっと女性が女性として憧れることができるヒロインが出てきたような気がする。

 

今までは女性ヒーローが少なかったし、映画に出てくる女性キャラは大体感情的だったり、ヒステリックだったり、男性キャラに尽くすか、男性キャラに精神的ダメージを与えて滅ぼすか、もしくはお色気か、みたいな極端なイメージが多かった気がする。

日本のお家芸ジブリですら、私にはヒロインのキャラが一辺倒に見える。
大抵の場合、何故か最初から男性主人公を嫌っていて、からかわれたり、優しくされたりすると「フンっ!」と鼻を鳴らしてそっぽを向いたり(魔女の宅急便)、

多少口説かれると「はっ!」とか言って胸をズキューンとやられる(もののけ姫)。
同じ女性として言うが、女性はひねくれ者(「フンっ!」)や、純真なヤツ(「はっ!」ズキューン)ばかりじゃない。
女性全員が、(特に生理前に)感情的になってヒステリックになる訳じゃないと思う。


やっぱり男性は女性を分かっていない。

 

まあ、私も女性として女性を分かっているとは言い難いけれど、、、

 

要するに、実際の女性は映画に出てくる女性より多様だと言うこと。

 


今、アメリカで「トキシック・マスキュラニティー」と言って、
「男の子は強いはずだから、泣いちゃダメ」という従来の男性教育を「一辺倒で良くない」とする考え方がブームになっている。
「(強いのが良いとされる)男性だって泣いたっていいじゃないか」
「(強いのが良いとされる)男性だって弱いところを見せてもいいじゃないか」
ということだ。


「男性はこうあらなくてはならない」という世間一般の考えがあるからこそ、男性も抑圧されている、という考えだ。

これはこのなにかと多様性が叫ばれるご時世で、「強い女性の受け入れ」を願う動きから派生していると私は勝手に理解している。
凄く良いことだと思う。

 

個人的な話だが、ウチの夫は外見的に華奢で内気、正直言うと弱く見えるタイプだ。
「夫婦間で見ると、奥さんのヒロコさんの方が男前ですよね!」
なんて言われ、私は夫に勝ったような気持ちで勝手に喜んでいる。
家庭内で喧嘩をすると夫は犬のようにヒーンヒン鳴いてくる。
情けないなあ。

 

でも私は知っている。


彼は私よりずっと精神的に強いし、柔軟だ。
生きていく力は凄い。


それに、

「これがフォースなのかもしれない」
と思うほど、良い運ばかり引き寄せる。

 

 

世の中は、華奢な内気な男性を「女性的な男性」とか勝手に言っていればよろしい。
ウチの夫は私の中では最強だ。

 

 

 

ちょっと夫自慢が入ったけれど、要するに、新しいディズニー配下のスターウォーズでは、主人公のレイが最高にカッコ良いということ。
ワンダーウーマンの主人公も良かったけれど、レイの方が個性が強い気がする。

 

 

強いて言えば、今後、元祖スターウォーズのハンソロみたいに
「ちょっと調子に乗ってる・余裕をかましまくる・たまにテキトーな物言いの、お笑い寄りの女性」
とか映画の主人公として出てくると嬉しいのだけど、、、

 

私の個人的希望である。

 

 

皆さま、良いお年を!

 

 

 

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