ニート in パリ - 行けっ森蔵!

偶然フランスはパリに移住することになった30代女子の生活。なぜか画家のベルト・モリゾに惹かれている。

ストライキと寝室のドアと

12/5(木)からパリの公共交通機関のストが続いている。
バス・電車全てがストップ。
とはいっても、朝・夕方の通勤時は動いている路線もあるらしい。
しかし、私の使っている路線は全てダウン。
木・金と二日とも往復2時間かけて徒歩で学校へ通った。
自転車やキックボード的なものを借りるサービスはあるようだが、使った後は指定の場所に止めて返さないといけないのが億劫。

自分の体づくりにもダイエットにも良いし、と思い、実は3週間ほど前から週末は近所を30分ランニングすることで鍛えていた。


鍛えた成果を試す時が来た!

1日目はランナーズハイならぬ「ハイキングハイ」で気持ちよく往復できた。
普段はフランス生活の文句ばかり言っている私も、セーヌ川エッフェル塔、ボート、アレクサンドル橋、ルーブル美術館等の豪華な川沿いの風景は大好きである。
特に朝は人がいないし、電車・バスが通っていないので静かだし、日が明けるのが遅いので、夜から朝へ変化する美しさを堪能できる。


帰りは帰りでクリスマスシーズンの(?)イルミネーションがキラキラと輝き、心が躍る。

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こんな時、
「あー、パリに来て良かったなー」
としみじみ思う。

 

家に帰って、暑すぎるセントラルヒーティングシステム(温度調整するノブは壊れてる)、そのせいで腐って臭う生ゴミ、それに群がるショウジョウバエや小さな蛾、生ゴミで毎日詰まるキッチンシンクを見ると幻滅するのだが、、、

 

昨日は(建て付けが悪いのか、古いのか)寝室の閉まらないドアが、開け放った窓からの風でバタバタ開け閉めを繰り返し、その音で夜中に起きてしまった。
こんな時に限って耳栓をし忘れたのだ。
というか、耳の中が小さいのか、簡易的な耳栓がなかなか耳の中に入らなくていつも困っている。
トイレに起きてから寝室に戻るも、ドアを下手に閉めようとするとまた風でバタバタが始まるから、ドアを開け放って寝っ転がった。
そして例のごとく考え事を始めてしまった。

 

———————————
あー昨日は散々だったな。
午前中は夫と1時間歩いてオペラ付近で外食したり、夫に新しい携帯を買ってもらったりして(「クリスマスと誕生日合体ね!」と夫)、「妻孝行」してもらった。
夫とは週末は1日しか休みが合わないから、久々のデートでもあった。
お互いの仕事観や勉強観、人生観を語ってすごく楽しかった。

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なのに、である。


家に帰ってきたら新しい携帯の設定に手こずり、3時間後にやっと完了。

携帯設定を待つ間、学校で習った銀はんだの練習をしようと、数日前に買ったガスバーナーをオンにするも、1回目に使用した時のような正しい炎が出ない。
なかなか加熱がされないので、長いこと金属を熱していたら、(銀はんだは溶けず)半田付けをしやすくするために塗った薬品が焦げてしまった。
おまけに手に握ってるガスバーナーまで熱くなってきた。あちち。

火は相変わらず弱火。
ガス充填型だったので、ガスを入れてみるも、その直後だけしっかりした火が出て、その後はどんどん弱火になる。

 

火は小さくなるばかりだが、私の怒りが大きくなってきた。

「もーなんだんだよ!まだ(使うのは)2回目だぞ!」
と私がキレてると、

「その状態でやってもうまくいかないんだから、一旦止めたら?別のガスバーナー買えばいいじゃん」と夫。

「でもこのガスバーナー日本製だし、日本人でこれを使って銀のリングをつくりかたをYouTubeに上げていた人がいるんだよ!できないはずないんだよ!」と私。

「そんなこと言ったって、うまくいかないんだから、仕方ないじゃん」と夫。

そんな、、、
ガスバーナー、64ユーロもしたのに。

 

 

ジュエリー学校の授業の(家での)復習には金属が必要だったり、専門用具が必要だったり、学校から重い道具を持って帰らないといけなかったり、物理的にも経済的にも大変だのだ。

その証拠に、金曜日のストの徒歩での帰りは、1時間歩いている間に肩が凝ってしまった。
重いリュックの紐が両肩に食い込み、体を後ろに引っ張る。
おまけに向かい風が強かった。


誰がハイキングの時に木製ハンマーやステンレス製のブロックや金属ヤスリを背負うっていうんだ!

 

あーあ。


今日は3時間もかかって、リング一つすら半田付けできなかった。
同じ時間があれば、ジュエリーを絵の具で描く練習や、技術用語(フランス語)の勉強できたし。

 

私の携帯と、ガスバーナーへのイライラが爆発した。
「3時間も無駄にしちゃった!時間を返せ!」と怒鳴る。

 

怒りに身をまかせ、ヒステリックに風呂と床の掃除をした。
時間をかけるならかけただけ、成果が目に見えてほしい。

 

最近はあまり感情に身をまかせないようにしているのだが(身をまかせると結局自分が疲れることに気がついたため)、昨日は限界だった。

ちなみに生理は終わっているのでホルモンは関係ない。

 

 

こうしてベッドに寝っ転がって考えてみると、やっぱきっと将来が不安なんだろうな。
ほかの技術力高い生徒と違って私は初心者だし。
フランス語は上達してきたけれど、まだスムーズじゃないし。

フランスでの就職活動はコネで決まると言う。仲が良くなったフランス人の女友達は一人だけいるけど。
こんなんでフランスでちゃんと就職できるんだろうか?

 

 

最悪夫とパリで一緒にいれないとして、日本の実家に帰る手はある。

 

でも、日本で何をして働くっていうんだ?
また人事の事務の仕事?

あの、仕事量過多で安給料の?他の社員には(人事として)恐れられるけれど、実際は(質・量とともに)奴隷感たっぷりの仕事をするのか?

 

それとも頑張ってアクセサリーメーカー探して工房の職人さん見習いになる?
学校出たてで、年齢は30代なのに、そんなのできるの?
そもそも工房自体ある?
あったとして、新人を雇うような経済的余裕のある工房なんて日本にある?

 


少なくとも、今の私の技術力を上げないと。
そのためにはしっかり練習しないといけないんだ。

時間が足りない。

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ん、あれ、ここは祖母の家だっけ?
あ、夢か。
あ、やっと寝付けたんだな!
良かった。

寝返りを打つ。

 

喜ぶのもつかの間、早起き好きの夫が起きリビングの電気をつけ、寝室のドアを閉めた。
寝ぼけた頭で「あー、もしや」と嫌な予感。


涼しい風が顔に当たる。
気持ち良い。

 

バッタン
ギイいいい。
バッタン
ギイいいいいいいい。

 

あーーーーーーーーーーーーーもう!!!!!

これだからこのアパートは嫌だ!
これで(この建て付けで)本当に家賃20万円超えてるわけ!?

 

起き上がってドアを開けた。
明るい!
ドラキュラが光に当たるとこんな風に負けた気持ちになるのか。
せっかく寝れたのに目覚めてしまう!!

 

夫は私に気がつかずに出勤する用意をしている。
隙間が開いている寝室のドアをみて、軽く閉めた。
もう限界だ。

 

「ああああーーーー、もう、閉めないでってば!!!!!!」

怒鳴る私。

 

寝ていると思っていた妻を気遣ってドアを閉めたのに、理不尽な罵声を浴びせられ、夫はビックリしたに違いない。
「なんで怒鳴るのよ!」と夫。

 

寝ぼけまなこでベッドからムックリ起き上がった私。
冬眠中に起こされた熊のように怒り狂っている。

「ドアをヘンに閉めるとねえ、風が吹いた時にバッタンバッタン、ギイギイ言うのよ!ほら見てよ、こんな感じでさあ(とドアを開け閉めして見せる)!そのせいで夜中に起きちゃって、なかなか寝れなかったんだから!寝付けたと思ったらあなたが起きて部屋が明るくなるし、またヒューバッタン、ヒューバッタンって言うしさ!ったく、何なんだよ!!!明るくてうるさくちゃ、寝れないよ!!」

 

寝ぼけ顔で「ヒューバッタン」の効果音を生真面目に再現し、かつドア開け閉めの実演もし、かつ全力でキレてる私が面白かったのか、夫がふと笑い出した。

 

いや、夫って、怒られると反射的に笑い出す人だってけ。
それが私の怒りに油を注ぐんだよな。

 

さらに怒り出す私。
さらに笑う夫。


夫にかかれば冬眠途中で起こされた子熊なんて、余裕である。

「ヒロの今日の1日が良い日でありますように!」
とニコニコ顔で唱え、私のほっぺにチュッとやって出勤して行った。

 

・・・・・・

やっぱ、彼、強えな。
何処でもどんな状況でも生きていけるだろうな。

そんな彼は自己啓発系YouTuberの動画を見て精神を鍛えている。

 

 

 

明日からの1週間もストライキ続くのかな、、、

(ため息)

 

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