ニート in パリ - 行けっ森蔵!

偶然フランスはパリに移住することになった30代女子の生活。なぜか画家のベルト・モリゾに惹かれている。

結婚と子供と夫との齟齬と

今日の内容は読者の方々の中で反発を生むこともあるかもしれません。


でも、1人で思い悩みたくない。
特に日本の方々にはあまり理解してもらえないかもしれないと思いつつ、もう抱え込みたくない。
 

 


皆さんは女性は結婚して子供を産むべきだと思いますか?
 


私がNoと強く主張すると、夫(まあ、事実婚なので、法的に正式に結婚しているわけではないのですが)は、
 
「ヒロは女子大を出てフェミニズムを学んだから、多少染まってるよね。」
と言います。
 

 


夫は体育会系の色が濃い山パンに勤務。
本社の女性社員は主に事務担当で、昇進の道はないそうです。
業者さんとの飲み会の席では「華を添えるためにウチからも女性社員を連れて行こう」となるよう。
ご両親は地方のご出身で、伝統的な価値観が強い。
 
 
このような状況で私は「強い我を通し」、結婚せず、子供を産まないという決断をしました。
 

 


夫の会社からは
「なぜ結婚しないの?」
「なぜ彼女さんは結婚してくれないの?夫になる君が力不足なんじゃないの?」
と夫は言われています。
その度に柔和な夫はお茶を濁してきたらしい。
 


夫の家族から私には、
「なぜヒロコちゃんはウチが嫌いなの?」
「このまま結婚しなくていいの?」
と催促される始末。

 

 

 

私にはたくさんの要因からの決断だったのです。


とりあえず夫の先輩達に子供の有無について聞かれた時には、
「ははは、いやあ、夫が子供みたいなもんなんで。夫のケアで手一杯ですよお(笑)」
と笑いを取りに行く。夫は打たれ強く、横でニヤニヤしている(ごめんね、夫)。
 


夫のお母さんには一時期、愛犬と「3人で」散歩に出かけさせられ、結婚の意思を詰問されたため、
「あの、特に悪意はなくて。私は今のままで幸せなので。彼のことも大好きですし。」
と一言回答した。
 


 
伝統的な「女性は若いうちに結婚し、子供を産むべし」に対し、物申したい。
 
もちろん、私の友人や会社の先輩で子供を産み、さらに幸せになっている人たちもいる。
そのひと達の人生はその人達の人生だ。

私の人生ではないので、とやかく言うことはない。

彼らが幸せなのが一番。

世界のより多くの人が幸せでいることが一番大事で、何によって幸せになっているかは、関係ない(人を殺して幸せになるのは問題だけど)。
 

 


と前置きした上で、私の人生における、私の個人的な見解を述べてみたい。
 


人の幸せはそれぞれだ。女性だからといって型にはめられた「幸せ」を追い求める必要はないのではないか。

世界に誰一人として同じ人がいないのだから、型にはめられた幸せがその個人に当てはまるかどうかは分からない。
 
・そもそも歴史上、家族を作ることが宗教的に奨励されたり、政治家が国を統治したり、税金を取ったりするのに都合がよかったから、家族を作るのが当たり前になっていたのでは。


・現在、女性が働くのは一般的になっている。税金だって納めている。ちゃんと社会の務めを果たしている。

結婚・子供は個人の選択に任せてよいのでは。
 
・今、仮に私が子供を産んだからといって、日本の少子高齢化の即効薬にはなり得ない。どっちみち、少子高齢化は始まっているし、今後も進む。
 
私だって、夢を叶えたい。

これは誰にでも言えることだが、キャリアの階段や成長が著しい時期に同じくして出産適齢期が来る。その際に、出産を選ばなければならないのはなぜか。

一旦キャリアが途切れれば、回復が難しい。
 
・もちろん生物学的には難しくはなるが、40歳までなら理論上は産めるはず。なぜ社会はすぐに産めとせかすのか。

親の介護と子育てが重なるのはわかる。しかし、それはカップルの決断に任せたらどうか。
 
・そもそも、私の妹は重度の知的障害者だ。もし私の両親が介護状態になったら、妹の世話もする必要がある。

その際に自分の子供もいたら(しかもティーンエイジャーくらいの子供だったら)、とてもじゃないけれど対応しきれない。
 
・夫は選べるが、夫の家族は選べない。それと同時に自分が生まれてきた家族も選べなかった。

もし、子供を育てるのに、それらの条件も良くなかったら、生まれてきた子供は幸せなのか。本人にちゃんと祖父母がいるのにも関わらず、祖父母に逢わせることなく、「○○ちゃんのおじいちゃんおばあちゃんは死んじゃったんだよ。」なんて言えるか。

 

・(仮に今子供ができるとすると)これからジュエリー学校を卒業して、フランスでの就職もしてみたい。そのタイミングで子供を産んだら、自分のやってみたいことが中断されて、後悔する。最悪なのは子供が大きくなって喧嘩したときだ。うっかり「あんたが生まれてきたから、お母さんはやりたいことができなかった」なんて漏らしちゃったら、子供にはトラウマだ。


 
 
 
実は、夫が言うように私は「大学でフェミニズムにやられた」わけではない。


実際振り返ってみると、在学中に夫とのデートで、
「子供は公立の男女ちゃんといる学校に通わせたい。お坊っちゃま、お嬢ちゃまばかりの特殊な環境ではなく、ごく普通の子供たちと遊ばせたい。」
と話したのを覚えているし、社会人2年目で結婚の話が出た時もとくに子供の件は反対しなかった。

むしろ2人にどっちに似るかとか、名前は何にしようか、とかロマンが膨らんだものだ。

 

 

結婚の話が出た時、私がちらっと夫に、
「ねえ、山本姓をキープしてもいいかなあ。「山本が大好き」ってわけじゃないんだけど、でも家族とのつながりは持っていたいんだ。」
と言うと、夫は柔軟なので、
「いーよ、別にボクが山本になっても。」
と言ってくれた。


しかし、その後、夫が夫の家族に伝えたところ両親の怒りを買ったらしく、
「ヒロコちゃんとは結婚してはダメ」
となった。

私は電話で母の前で大泣きした。
 

 


結婚が保留になり、自分の中で色々考えた。
どうやら、お決まり通りの人生にはならなそうだ。
彼の両親を怒らせてしまったし、仮に結婚しても、
「あの時、ヒロコちゃんはウチを嫌がった」
と嫌味を言われ続ける可能性もありうる。
 


この辺りから「結婚No、子供No」への強い意志が強くなっていく。
 


のろけではないが、夫のことはもちろん大好きだ。
私の中で大親友だから、なるべくは一緒にいたい。
 


しかし、結婚して、夫の家族の中に入って、果たして私は幸せになれるのか。
 


私の子供は幸せになれるのか。私が(もしかしたら)夫の家族と戦うのを見て。
「お母さんはなんでおじいちゃん、おばあちゃんが嫌いなの?」
となるに違いない。子供はおじいちゃん、おばあちゃんが好きなものだ。
 
それに「おじいちゃん、おばあちゃんのことは嫌い!お母さんをいじめるんだもん。」
と子供が言うようになっても、不健康な家族を作ってしまう。
 
「お母さん、なんでおじいちゃん、おばあちゃんに意地悪なの?」
となってしまったら、最悪だ。
 

そして私は嘘をつけないタイプだ。
子供の前で演技してたって、絶対顔に出る、、、子供は親や先生を見抜くのが上手なのだ。
 

 

夫の家族を責めているわけではない。
彼らは彼らの価値観の中で生きているだけだ。
彼らからしたら、私はとんでもなくぶっ飛んでいて、理解不能で、しかも自分の主張を通す、ワガママな小娘だ。
彼らの気持ちもよくわかる。
彼らの生活を私が望まないことで、自分が否定されているような気がしてしまうのも、よくわかる。
 
私が思うに、私と彼らの価値観は相容れないだけだ。
見ている世界が違うだけ。

 
だから、もう、結婚・子供を考えるのはやめましょう、、、
 
 
一番苦しんでいるのは夫かもしれない。
夫は平和主義者で、人との妥協が得意だ。そうやって上手いこと世の中を渡ってきた。
会社や、自分の家族からのプレッシャーをひしひし感じ、
「もう結婚しちゃえ」
「もう子供産んじゃえ」
と思っているに違いない。
 


「もし万が一妊娠してしまったら、中絶する」
と私が言ったら、相当嫌そうな顔をしていた。
 
「気持ちわかるから止めないけど、ヒロは本当にフェミニズムに染まってるよね。」

と彼は吐き捨てるように言った。
 
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                         ********

 

フランスに住み始めて一年。
フランス人の友達は多くなく、クラスメイトとたわいもない雑談をするだけなので、社会のプレッシャーは感じていない。
 
幸せ。
 
フランスは何かと住居トラブルや行政のトラブルが多くて、本当に嫌になるけれど、思考的には解放されている。
 
日本に一時帰国した時は、先輩にビールが注げなくなってた。
もうちょっとで乾杯前に一口飲んじゃうとこだった。
 
 
 
彼は山パンで日本人と現地の人と働いており、YouTubeNetFlixなど触れるメディアも日本語、日本人マインドのまま、得意な柔軟性を生かして、フランス生活をスイスイ泳いでいる。
 
「この前なんかさ、『まあ、フランスは後3年くらいなんじゃないかなあ。そのあとは日本本社に戻る予感がしてるんだよね』って言ったらさ、『なんでフランスに馴染んでるのに、日本帰るとか言い出すんすか。』って後輩から言われたよね(笑)」
と語る夫。
 
「日本の便利な生活好きだもんねえ」と私。
 
「そーそー。まあ、老後とか考えたらさ、物価が安い福岡に住んだりするといいみたいだけどね。とか、継続して収入が入るような仕事してたらさ、物価の安さと自分の収入の差額を取って、タイとかベトナムとかに住むといいらしいよ。」
と彼。
 
むむむ。
 
私、日本に帰りたいかなあ。
 
もちろん家族の世話はあるけれど。

もちろん和食は大好きだし、恋しいし、便利な日常生活で、何も悩まなくていい。

でも、、、
 
日本での私って浮いてて、周りからは外国人みたいな目で見られてたんだよな。
それにしては、同僚・先輩・上司の外国人の仕事のいい加減さが許せなかった。
「日本人になりきれないけれど、外国人でもない」って感じだったんだよな、、、
 


「日本での将来って全くイメージ湧かないんだよね。好きなんだけど、嫌いというか。なんか実家みたいなの。帰ると『いいな、幸せだな』とか思うんだけど、一定期間を過ぎると『もういいや、離れよう』って感じで。」
と私ポロリ。
 

「いやあ、社会も変わるって。この前は派遣社員やバイトの人の給与を正社員と同じにするとかいう法律ができたらしいよ。社会は変わってくから大丈夫だよ。」
と夫。
 
 
本当に夫は前しか向いていないんだよな。
 
いい人なんだけど、どーも私の気持ちまで考えてないような。
 

 

そして、、、
日本に帰って、また結婚・子供のプレッシャーにさらされたとき、彼は大丈夫なのか。
 
私は嫌になるほど考え抜いたから、思いを貫く。
 
人生でそれなりの苦労をしてきて、一番学んだのは、
 
「自分が苦しんでいても、誰も気にしてない。誰も助けてくれないし、立場を変わってくれない。なら、自分は自分で守れ。自分の意思を貫け。誰も自分を幸せにはしてくれない。」
だった。
 
だから、社会の敵になろうが、夫もしくは夫の敵になろうが結構。
 

これは自分の人生だ。

 

・・・・・・


でも、やっぱり、女性が一様に結婚・子供の選択を迫られるのはおかしいと思うな、、、
 
と思う今日この頃です。
 

日本へ一時帰国!!

フランスから日本に一時帰国している。


私は友達がかなり少ない方だが、前職で面白い・仕事ができる・人柄も良い方々に恵まれた。
初めての一時帰国では、昔からの友人と元職場の先輩方と代わる代わる夕食している。

 

その時に気がついたのだが、皆さん私のフランス生活について、
「さぞ、美の都で美意識が磨かれ、さぞお洒落な生活をしているのでしょうね」
くらいなトーンで聞いてくる。

その度にパリ生活の現実(台所床下浸水、隣人のセックス音、相次いで罠にひっかかるネズミ、電気が止められた、等)を訴えることになる。


または、相方職場の女の子たちの壮絶な生活(バイト先で給与支払われなかった、隣人がドラッグやっててうるさいし、共用トイレで吐いたものを放置してる)を伝えたり。


また、フランス語での9:00-17:00のジュエリー学校の授業がいかにキツイか、とかを話したり。

 

まあ、一年近く経って慣れてはきたものの、日本に比べるとパリの生活は格段に不便な生活なのだ。

で、そのストーリーを、毎晩新しい「お客様」を目の前に「私劇場」で一人芝居することになる。


・・・・・


ちょっと飽きてきちゃった。

 

私に会ってくださる方もすごく良い方ばかりで、聞き手に回ってくれるので、私としては、
「今日はどのネタを話したかな」
みたいな感じである。

 

私は相手の近況も知りたい!!

 

日本での皆さんの生活を聞いていると、私が浦島太郎になってしまうけど(秋口の台風がいかにひどかったかとか、外食の消費税アップとか、オリンピックとか知らないのです)。

 

でも、別に私の自慢話をしたいが為に夕食を一緒にしているわけじゃないのだ。


いや、自慢話をしているつもりはなく、苦労話・愚痴を言わせてただいているのだが、それでも「フランス生活」「パリ生活」という素敵なブランドイメージのせいで、人によっては私の話も嫌味に聞こえたり、自慢話に聞こえたりするかもしれないと思う。

 

                                                                                                      **********

 

これも一時帰国あるあるなのかもしれないが、毎日必要物資を買い歩いている。
フランスが最強に不便なので、それを少しでも改善しようとしての事である。


まず、フランスに100均なんてない。
フランスに東急ハンズなんてない。
つまり、生活の便利グッズは存在しない。


また、毎日何かしら学校のクラスメイトか、お世話になっている先生へのお土産を買い歩いている。


私は何をしに日本に帰ってきたんだっけ?

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                                                                                                       **********

あとは歯医者。
国民健康保険に入っていないので10割負担の診察料を支払うことになる。

 

その結果、歯のクリーニングとレントゲン診察だけで23500円だった。

はああああー、高い。

私の貯金が泣いている。

 

「そもそも、フランスで治療すればいいじゃん」と皆さん。

 

しかし、相方の職場の人の話によると、
「フランスでは虫歯ができたら抜くのがあたりまえ」
らしいので、怖くて現地では治療に行けない。

 

そもそも、加入したフランスの健康保険の使い方がわからない。
フランス語だから。
そして、フランスの行政を信用していないから。
(Visa更新で懲りました。)

 

そしてフランスでの日本人歯科医を探せてない。

 

                                                                                                     **********

 

日本に帰ってきて楽しんでいるのは食である。

弟と(日本の)焼肉、会社の先輩とはお寿司。
これから韓国焼肉が控えている。
タイミングはずれたけど、後から来た相方とはうどんを食べたし、ラーメンを食べる約束もしている。

フランスの日本食には幻滅し(うどんとラーメンで挫折)、美味しい日本食屋さんを探せていない。

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やっぱり本場が良い。
その国・地域で得意なものが一番美味しいのだ。
フランスで無理に和食を外食することはない。

 

本当に今週中にフランスに戻れるのだろうか。

もう少し「日本にいる外国人観光客」のつもりで、日本を満喫したい。

 

 

 

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パリのクリスマスとスターウォーズと

日本時間ではもう2020年になったようだ。

フランスはまだ12/31の午後16:00。

そしてパリの公共交通機関ストライキは続いている。

 

年末に日本に帰るのは飛行機代が高かったのでやめた。
2月末に学校の休みがあるので、そのタイミングにしようと思う。

 

そもそも、私は日本式の年末年始が大嫌いだ。
何だか湿っぽい。
12/31は紅白歌合戦はまあ良いとして、『行く年来る年』でしんみり一年を振り返り「鐘の音で煩悩を捨てる」。
世の中の苦しみに思いを馳せ、新しい一年を迎える。
朝は静まり返った近所を散歩して初詣に出かけると大体混雑している。
福袋を買いあさる人々の熱気は好きだ。
でもなんだかやっぱりしんみりしてしまう。

 

 

私は実は終わりを迎えるのは好きである。

 

どんなに苦しかった学校生活も会社生活も、最終日になれば皆んなが優しくなって、良い思い出だけに集中して、
「あー、何だかんだ言っても、割と良かったかもな」
なんて思える。
(いじめを受けた中学時代は卒業式はひたすらホッとしたのだが。)
大抵、終わりよければ全て良し、だ。

 

が、年末は違う。

ウチの母の好みで見ていた『行く年来る年』は人々の苦しみに焦点を当てている気がする。
なんだか毎年見るたびに生きているのが辛くなる。
まあ、夫と一緒に暮らしだしてからは夫が私との年越しを好むため、母と年末を過ごすことはなくなった。母は私抜きの年末を最初は寂しがっており、私も心苦しかったが、『行く年来る年』をやめられるのは嬉しい。
その代わりに夫が好きで見ていたのがNHK深夜番組の2355だ。
お笑いの人が画面上でおみくじをやったり、視聴者からのかわいらしいペットの写真を見たり、トビハゼの動画とともにゆるい話が流れたり、する番組で、とにかくユルいのである。
でもそれも(私にとっては)かえってしんみりしてしまったりする。

 

 

 

聞いたところによると、フランスのクリスマスと年越しは日本の真逆。
クリスマスは家族とゆっくり過ごす (=日本の年越し)。
年越しは友人とワイワイガヤガヤ街に繰り出して大騒ぎする (日本の場合は恋人同士だとは思うが)。

この冬休みの一週間は学校の授業の復習や、来年のCAP(中等教育終了の国家資格)対策をしていたが、25日は夫の応援も兼ねてヤマザキフランスのお店へ。
お茶とケーキで夫のシフト終わりを待ち、夫の職場の女の子と一緒に帰宅。

実は24日にヤマザキフランスにクリスマスケーキを買いに行ったのだが、高級区であるパリ16区は大盛り上がり。観光客と地元の高級層がクリスマスの買い物をしていたのかも。

 


25日は真逆で街はすっからかん。

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お店もパン屋以外は閉まっている。
ゾンビタウンとはこういう街か。
ヤマザキフランスのカフェ内はフランス人ご老人の常連と、外国人でお客が絶えなかった。
外国人は25日に空いているお店を探しに来たのかもしれない。


ヤマザキフランスのカフェでは在仏日本人のおば様が愚痴大会。
職場?近所?で中国人からもらった中国土産食品の不潔さ・怪しさを語っている。

同じ日本人として見苦しい(聞き苦しい)のでやめて欲しい。
耳栓をし、黙々とCAP対策をしていたが、なかなかうるさい。

 

あー、夫の応援にうるさいカフェに居座るなら、ノイズキャンセリングのイヤホンも買った方が良いかもな。

 

夫が上がるタイミングでお会計をしようとしたところ、フランス人の若い男性スタッフが身振り手振りで
「お会計はいいよ、こっちでなんとかしておくよ」的なことを言っている。
「本当にいいのかな?」と夫の方を見たが、
夫も「いやいや、さすがにダメでしょ、僕が払うからさ!」とスタッフに言う。
スタッフは大手を振って私たちを送り出す。
「今日もお疲れ、ナオさん!メリークリスマス!」とフランス語で言っている。
夫は苦笑しながら感謝している。夫「お店の売り上げ減っちゃうじゃん、、、」と呟く。

ヤマザキフランスのスタッフさんには年末か新年に何か持ってくか、、、

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一昨日は、家で学校の復習と30分近所ランニングの生活に飽き飽きし、一人で近所の映画館にスターウォーズの最新作を見に行ってきた。
今回作も、ディズニー配下での新しいスターウォーズシリーズの他の例に漏れず、(英語の)メディアで散々酷評されていた。
「監督のJ.J.アブラハムはファンに媚びすぎ。アクションに頼りすぎ。別の監督による前作エピソード8はオリジナリティがあって良かったのに、J.J.アブラハムに戻った今回作はまた展開が読める話で面白くない」
「最近の若者俳優は演技が真面目すぎて面白くない」
などなど。

どうなることかと思ったものの、日本で映画を見ると1800円するが、フランスで映画を見ると12ユーロ(約1464円)で安上がりなので見てみた。

 

 

結果、面白かった!!

 


なんだ、全然良いじゃないか!

「ファンに媚びてる」という表現もできるのかもしれないけれど「J.J.アブラハムが一スターウォーズファンとして最高と思える夢の展開にした」という解釈もできるのでは。
スターウォーズ愛を感じた。
エピソード5,6に出てきた、ハンソロのお友達のランドーもオッサンになって再登場。
出てきた途端、スクリーンに安心感をもたらせてくれた。
大先輩感が出ていて良かった。
終わりのシーンにはちゃんとイウォークも出てくるし、議会みたいな建物も出てくるし、昔のシリーズへのオマージュが所々感じられた。
カイロ・レンとレイの戦闘シーンやフォースのぶつかり合いの図は凄く綺麗だった。

レイの手からビカビカっと光線が出た時の近代西洋絵画的な綺麗さは2日経った今も覚えている。

 

全体のメッセージである「(血筋や経歴関係なく)お前がなりたいものになれ」という自己啓発的なメッセージも良かった。
将来への一抹の不安を感じていた私も、映画が終わった頃にはすっかり気持ちが前向きになっていた。
ロードオブザリングファンとして、メリー役の俳優さんが出ていたのは私にとっては嬉しいおまけだった。

 

 

エピソード7で私が全く共感できなかった悪役のカイロ・レンは、エピソード8で暗い過去が語られた結果、

「元々善なのに、悪側に大きく揺れる心理」

が観客にとって理解しやすくなった気がする。その心境のさらなる変化が今回のエピソード9で見られたのがすごく良かった。


カイロ・レンはエピソード7ではただ単に

「アンガーマネージメントが出来ないヤバイヤクザ」

みたいに見えたけれど、2エピソードを経て、キャラとして成長していた。
今回は良い意味でカイロ・レンがヤバイ。

 

というか、俳優のアダム・ドライバーが最高に良い!
エピソード7を映画館で見たとき、ストーリーにものすごい違和感を感じる中、
「この人、どっかで見たことある」
と首をひねっていた。


後日、同時期に見ていたドラマの”Girls”の、アクの強い・かつ社会性がない彼氏役をやっていた。

その主人公の彼氏役でのアダム・ドライバーが強烈で、
「この人がカイロ・レンもやってるのかあ」
と不思議に思ったのを覚えている。

 

それからのあの独特な表情と声!

久しぶりにまたYouTubeでインタビューを見まくった。
そっか、ジュリヤードに一度落ちたとか、3.11後に使命感を感じてアメリカ海軍に入団しようとしたけれど、トレーニング段階で怪我をして除名されて途方にくれたんだったっけ。

人生色々体験している人なんだな。
どのインタビューも大体本人の語りがぎこちなくて、余計興味が湧いた。

 

あんなにスクリーン上での存在感があるのに、なんでインタビューだと途端に話し下手な若者になるんだ!?
ハリウッドっぽくない。嘘くさくない。
キザじゃない。
生真面目で愚直な感じがする。

 

面白い。


ただの個性派イケメンじゃない。
「イケメン」なんて言葉はアダム・ドライバーには軽すぎる。
この人は本当に役者という職業での「職人」なのかもしれない。

 

彼の演技を見れば観るほど、荒削りというか、重いというか、生々しい感情が観客にぶつけられるのを感じる。
Netflixで「マリッジ・ストーリー」を見たが、これもアダム・ドライバーの演技が最高だった。「演技していないんじゃないか、ドキュメンタリーなんじゃないか」と思えるほどだ。
もしかしたら脚本がないところからの、監督と俳優たちで作り上げるスタイルも良かったのかもしれないし、脚本を書いた人や、監督のストーリーのまとめ方が良かったのかもしれない。
だけれど、スクリーン上に生々しく感情を再現するのは俳優だ。

 


アダム・ドライバーは、退役アメリカ軍人向けに演劇を無料で提供する活動を、ハリウッドで売れる前からやってる。
軍人のPTSDを芸術活動で軽減したいという気持ちで始めたようだ。

筋が一本通った生き方をしているんだな。
カッコいい。
自分が男なら、こんな男になりたい。

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今回のスターウォーズでは、ヒロインであるレイ役のデイジー・リドリーもやっぱりカッコ良かった!
やっと女性が女性として憧れることができるヒロインが出てきたような気がする。

 

今までは女性ヒーローが少なかったし、映画に出てくる女性キャラは大体感情的だったり、ヒステリックだったり、男性キャラに尽くすか、男性キャラに精神的ダメージを与えて滅ぼすか、もしくはお色気か、みたいな極端なイメージが多かった気がする。

日本のお家芸ジブリですら、私にはヒロインのキャラが一辺倒に見える。
大抵の場合、何故か最初から男性主人公を嫌っていて、からかわれたり、優しくされたりすると「フンっ!」と鼻を鳴らしてそっぽを向いたり(魔女の宅急便)、

多少口説かれると「はっ!」とか言って胸をズキューンとやられる(もののけ姫)。
同じ女性として言うが、女性はひねくれ者(「フンっ!」)や、純真なヤツ(「はっ!」ズキューン)ばかりじゃない。
女性全員が、(特に生理前に)感情的になってヒステリックになる訳じゃないと思う。


やっぱり男性は女性を分かっていない。

 

まあ、私も女性として女性を分かっているとは言い難いけれど、、、

 

要するに、実際の女性は映画に出てくる女性より多様だと言うこと。

 


今、アメリカで「トキシック・マスキュラニティー」と言って、
「男の子は強いはずだから、泣いちゃダメ」という従来の男性教育を「一辺倒で良くない」とする考え方がブームになっている。
「(強いのが良いとされる)男性だって泣いたっていいじゃないか」
「(強いのが良いとされる)男性だって弱いところを見せてもいいじゃないか」
ということだ。


「男性はこうあらなくてはならない」という世間一般の考えがあるからこそ、男性も抑圧されている、という考えだ。

これはこのなにかと多様性が叫ばれるご時世で、「強い女性の受け入れ」を願う動きから派生していると私は勝手に理解している。
凄く良いことだと思う。

 

個人的な話だが、ウチの夫は外見的に華奢で内気、正直言うと弱く見えるタイプだ。
「夫婦間で見ると、奥さんのヒロコさんの方が男前ですよね!」
なんて言われ、私は夫に勝ったような気持ちで勝手に喜んでいる。
家庭内で喧嘩をすると夫は犬のようにヒーンヒン鳴いてくる。
情けないなあ。

 

でも私は知っている。


彼は私よりずっと精神的に強いし、柔軟だ。
生きていく力は凄い。


それに、

「これがフォースなのかもしれない」
と思うほど、良い運ばかり引き寄せる。

 

 

世の中は、華奢な内気な男性を「女性的な男性」とか勝手に言っていればよろしい。
ウチの夫は私の中では最強だ。

 

 

 

ちょっと夫自慢が入ったけれど、要するに、新しいディズニー配下のスターウォーズでは、主人公のレイが最高にカッコ良いということ。
ワンダーウーマンの主人公も良かったけれど、レイの方が個性が強い気がする。

 

 

強いて言えば、今後、元祖スターウォーズのハンソロみたいに
「ちょっと調子に乗ってる・余裕をかましまくる・たまにテキトーな物言いの、お笑い寄りの女性」
とか映画の主人公として出てくると嬉しいのだけど、、、

 

私の個人的希望である。

 

 

皆さま、良いお年を!

 

 

 

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ストライキと寝室のドアと

12/5(木)からパリの公共交通機関のストが続いている。
バス・電車全てがストップ。
とはいっても、朝・夕方の通勤時は動いている路線もあるらしい。
しかし、私の使っている路線は全てダウン。
木・金と二日とも往復2時間かけて徒歩で学校へ通った。
自転車やキックボード的なものを借りるサービスはあるようだが、使った後は指定の場所に止めて返さないといけないのが億劫。

自分の体づくりにもダイエットにも良いし、と思い、実は3週間ほど前から週末は近所を30分ランニングすることで鍛えていた。


鍛えた成果を試す時が来た!

1日目はランナーズハイならぬ「ハイキングハイ」で気持ちよく往復できた。
普段はフランス生活の文句ばかり言っている私も、セーヌ川エッフェル塔、ボート、アレクサンドル橋、ルーブル美術館等の豪華な川沿いの風景は大好きである。
特に朝は人がいないし、電車・バスが通っていないので静かだし、日が明けるのが遅いので、夜から朝へ変化する美しさを堪能できる。


帰りは帰りでクリスマスシーズンの(?)イルミネーションがキラキラと輝き、心が躍る。

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こんな時、
「あー、パリに来て良かったなー」
としみじみ思う。

 

家に帰って、暑すぎるセントラルヒーティングシステム(温度調整するノブは壊れてる)、そのせいで腐って臭う生ゴミ、それに群がるショウジョウバエや小さな蛾、生ゴミで毎日詰まるキッチンシンクを見ると幻滅するのだが、、、

 

昨日は(建て付けが悪いのか、古いのか)寝室の閉まらないドアが、開け放った窓からの風でバタバタ開け閉めを繰り返し、その音で夜中に起きてしまった。
こんな時に限って耳栓をし忘れたのだ。
というか、耳の中が小さいのか、簡易的な耳栓がなかなか耳の中に入らなくていつも困っている。
トイレに起きてから寝室に戻るも、ドアを下手に閉めようとするとまた風でバタバタが始まるから、ドアを開け放って寝っ転がった。
そして例のごとく考え事を始めてしまった。

 

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あー昨日は散々だったな。
午前中は夫と1時間歩いてオペラ付近で外食したり、夫に新しい携帯を買ってもらったりして(「クリスマスと誕生日合体ね!」と夫)、「妻孝行」してもらった。
夫とは週末は1日しか休みが合わないから、久々のデートでもあった。
お互いの仕事観や勉強観、人生観を語ってすごく楽しかった。

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なのに、である。


家に帰ってきたら新しい携帯の設定に手こずり、3時間後にやっと完了。

携帯設定を待つ間、学校で習った銀はんだの練習をしようと、数日前に買ったガスバーナーをオンにするも、1回目に使用した時のような正しい炎が出ない。
なかなか加熱がされないので、長いこと金属を熱していたら、(銀はんだは溶けず)半田付けをしやすくするために塗った薬品が焦げてしまった。
おまけに手に握ってるガスバーナーまで熱くなってきた。あちち。

火は相変わらず弱火。
ガス充填型だったので、ガスを入れてみるも、その直後だけしっかりした火が出て、その後はどんどん弱火になる。

 

火は小さくなるばかりだが、私の怒りが大きくなってきた。

「もーなんだんだよ!まだ(使うのは)2回目だぞ!」
と私がキレてると、

「その状態でやってもうまくいかないんだから、一旦止めたら?別のガスバーナー買えばいいじゃん」と夫。

「でもこのガスバーナー日本製だし、日本人でこれを使って銀のリングをつくりかたをYouTubeに上げていた人がいるんだよ!できないはずないんだよ!」と私。

「そんなこと言ったって、うまくいかないんだから、仕方ないじゃん」と夫。

そんな、、、
ガスバーナー、64ユーロもしたのに。

 

 

ジュエリー学校の授業の(家での)復習には金属が必要だったり、専門用具が必要だったり、学校から重い道具を持って帰らないといけなかったり、物理的にも経済的にも大変だのだ。

その証拠に、金曜日のストの徒歩での帰りは、1時間歩いている間に肩が凝ってしまった。
重いリュックの紐が両肩に食い込み、体を後ろに引っ張る。
おまけに向かい風が強かった。


誰がハイキングの時に木製ハンマーやステンレス製のブロックや金属ヤスリを背負うっていうんだ!

 

あーあ。


今日は3時間もかかって、リング一つすら半田付けできなかった。
同じ時間があれば、ジュエリーを絵の具で描く練習や、技術用語(フランス語)の勉強できたし。

 

私の携帯と、ガスバーナーへのイライラが爆発した。
「3時間も無駄にしちゃった!時間を返せ!」と怒鳴る。

 

怒りに身をまかせ、ヒステリックに風呂と床の掃除をした。
時間をかけるならかけただけ、成果が目に見えてほしい。

 

最近はあまり感情に身をまかせないようにしているのだが(身をまかせると結局自分が疲れることに気がついたため)、昨日は限界だった。

ちなみに生理は終わっているのでホルモンは関係ない。

 

 

こうしてベッドに寝っ転がって考えてみると、やっぱきっと将来が不安なんだろうな。
ほかの技術力高い生徒と違って私は初心者だし。
フランス語は上達してきたけれど、まだスムーズじゃないし。

フランスでの就職活動はコネで決まると言う。仲が良くなったフランス人の女友達は一人だけいるけど。
こんなんでフランスでちゃんと就職できるんだろうか?

 

 

最悪夫とパリで一緒にいれないとして、日本の実家に帰る手はある。

 

でも、日本で何をして働くっていうんだ?
また人事の事務の仕事?

あの、仕事量過多で安給料の?他の社員には(人事として)恐れられるけれど、実際は(質・量とともに)奴隷感たっぷりの仕事をするのか?

 

それとも頑張ってアクセサリーメーカー探して工房の職人さん見習いになる?
学校出たてで、年齢は30代なのに、そんなのできるの?
そもそも工房自体ある?
あったとして、新人を雇うような経済的余裕のある工房なんて日本にある?

 


少なくとも、今の私の技術力を上げないと。
そのためにはしっかり練習しないといけないんだ。

時間が足りない。

———————————————

 

ん、あれ、ここは祖母の家だっけ?
あ、夢か。
あ、やっと寝付けたんだな!
良かった。

寝返りを打つ。

 

喜ぶのもつかの間、早起き好きの夫が起きリビングの電気をつけ、寝室のドアを閉めた。
寝ぼけた頭で「あー、もしや」と嫌な予感。


涼しい風が顔に当たる。
気持ち良い。

 

バッタン
ギイいいい。
バッタン
ギイいいいいいいい。

 

あーーーーーーーーーーーーーもう!!!!!

これだからこのアパートは嫌だ!
これで(この建て付けで)本当に家賃20万円超えてるわけ!?

 

起き上がってドアを開けた。
明るい!
ドラキュラが光に当たるとこんな風に負けた気持ちになるのか。
せっかく寝れたのに目覚めてしまう!!

 

夫は私に気がつかずに出勤する用意をしている。
隙間が開いている寝室のドアをみて、軽く閉めた。
もう限界だ。

 

「ああああーーーー、もう、閉めないでってば!!!!!!」

怒鳴る私。

 

寝ていると思っていた妻を気遣ってドアを閉めたのに、理不尽な罵声を浴びせられ、夫はビックリしたに違いない。
「なんで怒鳴るのよ!」と夫。

 

寝ぼけまなこでベッドからムックリ起き上がった私。
冬眠中に起こされた熊のように怒り狂っている。

「ドアをヘンに閉めるとねえ、風が吹いた時にバッタンバッタン、ギイギイ言うのよ!ほら見てよ、こんな感じでさあ(とドアを開け閉めして見せる)!そのせいで夜中に起きちゃって、なかなか寝れなかったんだから!寝付けたと思ったらあなたが起きて部屋が明るくなるし、またヒューバッタン、ヒューバッタンって言うしさ!ったく、何なんだよ!!!明るくてうるさくちゃ、寝れないよ!!」

 

寝ぼけ顔で「ヒューバッタン」の効果音を生真面目に再現し、かつドア開け閉めの実演もし、かつ全力でキレてる私が面白かったのか、夫がふと笑い出した。

 

いや、夫って、怒られると反射的に笑い出す人だってけ。
それが私の怒りに油を注ぐんだよな。

 

さらに怒り出す私。
さらに笑う夫。


夫にかかれば冬眠途中で起こされた子熊なんて、余裕である。

「ヒロの今日の1日が良い日でありますように!」
とニコニコ顔で唱え、私のほっぺにチュッとやって出勤して行った。

 

・・・・・・

やっぱ、彼、強えな。
何処でもどんな状況でも生きていけるだろうな。

そんな彼は自己啓発系YouTuberの動画を見て精神を鍛えている。

 

 

 

明日からの1週間もストライキ続くのかな、、、

(ため息)

 

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フランス人は脱力気味?

パリもすっかり冬のようになってきて、朝の気温は7度だ。


 夏は日がびっくりするほど長くて、夜22:00くらいまで明るいこともあったが、今は17:00には真っ暗だ。これだと日が落ちるのが日本より早い感じがする。

 9月に入学したジュエリー学校も2ヶ月が経ち、やっとフランススタイルの教育にも慣れてきた。

 やっぱり日本式の「全部何でも教えてくれる教育」が好きだけど、仕方ないや。

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 先月から一般科目(数学、英語、フランス語、地理・歴史)が始まり、ほかのフランス人生徒たちよりも帰りが遅くなった。
 フランス人は大抵、大学入学の資格であるバカロレア(BAC)か、中等教育修了の証しのCAPを持っているようで、持っているフランス人は技術試験だけ受ければ良いらしい。
 BACやCAPを持っていない外国人は一般科目も受験する必要がある=一般科目の勉強が必要になる。
 長時間フランス語にさらされるのは精神的にキツイけれど、それも慣れた。


 留学を斡旋してくれた業者さんから
「国家資格を取れる学校に入学できることになりました」
と言われていたので、難しい試験が待っている感があった。
 Wikipediaによると、その国家資格であるCAPは中等教育程度らしい。

 

 確かに、数学は日本での就活で使われている基礎学力テストであるSPIみたいに簡単だった。
 比例・反比例が分かればなんとかなりそうだ。


 しかし、フランス人の考え方や表現というものが(私にとっては)ネックで、それに慣れないと問題を読み間違える。
例えば、「4個150グラムの果物が5ユーロで売っています」という文章だ。
問題には他の選択肢もあり「どの店で買うと安いですか」と問われる。
私はまず、1個37.6グラムあたりの値段を出そうと、5ユーロ÷4個をしたのだが、先生によると、
「4個×150gなのだから、この果物の値段は4個×5ユーロで、20ユーロである」
とのことだった。

 むむむ、、、

 

 英語は、英検3級〜準2級くらいのレベルの口頭試験だ。
問題形式も英検3級〜準2級のような、短い文章の読解。
日本人なら、高校1年生レベルの英語力があれば楽勝といったところか。


 歴史・地理は、決められた4つのテーマの中から一つずつ選んでレポートを作成し、発表するというもの。
 歴史は下記から一つ選ぶ。
1. 大航海時代
2. フランスの大統領制の起こり
3. フランスの労働環境の歴史
4. 世界の戦争(第一次・第二次世界大戦、その他の紛争)

 

 地理は下記から一つ選ぶ。
1. グローバル化
2. 世界の経済格差
3. 世界の食糧問題
4. 国のリスク対応 (災害など)

 

 もちろんフランス語でレポートとプレゼン原稿を書かないといけないのだが、これは最終的に先生が添削してくれるので、安心だ。


 問題はフランス語だ。


 長文読解の問題と、それに対する自分の意見を書くという、日本で言うと国語の問題と小論文の問題がくっついたようなものなのだが、なんと、文学作品や、演劇の台本が出るのである!

 ジュエリー学校に2ヶ月通って、毎日先生の話を聞いたり、同じクラスの生徒のたわいもない雑談を聞いたりして、語学学校にいた時よりはるかに読解力が上がったし、カタコトではあるけどフランス語が口から出るスピードも上がった。

 

 しかし。

 

 文学作品を辞書なしで読めなんて無理!!
 しかも、文学だから比喩がいっぱい。
 先週初めて(CAPでの)このフランス語試験の全貌が明らかになったのだが、絶望。

 

 帰宅して夫に愚痴るも、
「ヒロの言うように各科目の点を合算して平均点で合格が決まるなら、捨てる科目と力入れる科目を分けたら?」
と冷静に言われてしまった。

 

 つい先週くらいまで
中等教育修了の試験なら、各科目満点も夢じゃないんじゃないの?頑張りなよ。」
と煽ってきたのに。

 

さすが現実主義者の夫。

 

 ここ数週間で、
・実は保健の試験もある
・実は技術知識の試験もある
(その科目についてジュエリー学校が提供しているレジュメは64ページあり、金や銀など貴金属が何度で溶けるか等、暗記事項がもちろん全部フランス語で書かれている)

ということを知った。

 

 同じクラスの台湾人も
「なんか、、、試験科目どんどん増えてない?(泣)」
というリアクションだった。

 

————————————


 フランス人はもしかすると
「頑張るのを極度に嫌がる国民なんじゃないか」
と思い始めている。

 

 語学学校で仲良くなった先生は、私のジュエリー学校での波乱を伝えると
「そんなに心配しなさんな。試験落ちたって何とかなるよ。死ぬわけじゃないんだし。もっと気楽に構えなよ。」
と言う。

 

 木曜のデッサンテクニックを担当している親切な先生も、
「ヒロコ、そんなに心配しなさんな。ヒロコのフランス語は悪くないし、一緒に受験する生徒の中には中国人だって、韓国人だっているし。昔、フランス語全く喋れない韓国人生徒がいて、授業中にこっちが確認しても頷くだけだったけど、試験大丈夫だったんだから。」
と言う。

 

 とにかく、フランス人はみんな
パ・ドウ・スシ(“Pas de soucis,”「心配すんな」)
パ・ドウ・パニック(“Pas de panique,” 「落ち着け」)
ばかり言う。


 日本人同士でももちろん似たようなことは言うかもしれないけれど、どっちかというと
「大丈夫だよ。頑張ってね!」
ではないか。

 

 先日、同じクラスの優しい男子グレッグ26歳が、休み時間にしばらく台湾人の女の子と雑談していたが、横でデッサン練習をしている私を見て、
「ヒロコ、大丈夫?そんなに今こん詰めてやることないんじゃないの。家でやればいいじゃん。」
と言う。

 

 そこで台湾人の女の子が
「でもウチら、一般科目の授業で夕方潰れるからあまり時間ないんだよ。」
と言う。
(フランス人生徒はCAPかバカロレア(BAC)を持っていれば、数学等の一般科目はやらなくて良い)

 

もしや追い詰められて「頑張ろうとする」のは私たちがアジア人だから?

 

 グレッグが、
 木曜の先生が、
 元語学学校の先生が、
 私の気持ちを気遣ってくれたのはわかる。

 でも、頑張るのを止められて、違和感を感じてしまった。

 

 

 例えば、大学受験生が勉強頑張っているのを見て、日本人なら
おっ。今日も勉強してるんだね。体調だけは気をつけなよ。頑張ってね!」
と声がけするんじゃないか。

 

 フランス人式に、
大変だねえ。まあさ、そんなに心配しなさんな。落ちてもたいしたことないから。そんなに頑張ることないよ。」
と言うだろうか、、、?

 

 待てよ。

 

 考えてみたら、母方の祖母なら言いそうだな、、、
「今まで子供に「苦しいことからは逃げろ」って教えてきちゃったけど、そればかりでもダメなのよね、最近気がついたわ。」
とか言ってたっけ。

 


 とにかく、

 フランス人は
「いかに頑張らないか」
を重視している気がする。

引き算の人生だ。
多分、逃げれる戦なら、即効逃げるんじゃないか。

 

 日本人は、
「いかに頑張るか」
を重視する。

足し算だ。
逃げれる戦でも、勝つ方法を編み出す。

 

 

 フランスが好きでフランスに暮らしている人は、
「日本人は頑張りすぎ。」
「日本人はもっと力を抜くべき。生活は不便になるけど、それでも何とかやれるから。」
「不便な方が問題解決をしようと頭を使う。日本は便利だから人に主体性がない。」
と言う。

 

 でも頑張ったからこそ日本が発展したわけだし、
 頑張ったからこそ便利な生活があるわけだし、
 (各自が仕事を)頑張るからこそ気持ちよくサービスが受けられる。

 

 もちろん、
 その「頑張る人」をさらに追い込むような会社の文化はもちろん変えるべきだし、
 「頑張る人」を休ませる会社の文化は育むべき。
 社員各自も、自分の心の状態を把握して、心のケアに時間を使えるように工夫すべきだとは思う。


 でも、(フランスのように)人が仕事を頑張らないことにして、

 仕事の質が落ちて世の中が不便になったとして、

 何かうまくいかないことがあった時に
「人々が頑張らないから、受けるサービスもイマイチだけど、まあ仕方ないや。お互い、仕事なんてどーでもいいもんね。」
と受け止めなければいけないとすると、それも極端にネガティブだ。

 

 また、
「(フランスでは)人が頑張らないからサービスが発展しなくて不便だけど、各自不便さを工夫して乗り越えるわけだから、人の自主性が増すのでは。」
という議論は私は個人的に好きじゃない。


 その「不便さ」が「社員のほんの少しの努力」でなくなるなら、なくした方が周りの仕事が回るから最終的にストレスがなくなる。

 

 そもそも人に自主性があるのなら、毎日の生活の小さな不便さを乗り越えるよりも、自分の今後の人生を考えて努力するほうに頭を使った方が良いのでは。
 もし少しでも自ら進んで努力すれば社会は発展するのでは。

「人々の自主性があるのに不便な社会」は矛盾している。


※ここでの「自主性があること」の私にとっての定義は
「自分から進んで物事の対応をすること」
だけれど、もちろん、他の人にとっては別の定義もあるだろうから、一概に私の意見が正しいとも言えない。

 

 

 とにかく、私の中で
「大抵のフランス人はもしや常に脱力思考なのでは」
という疑惑がむくむくと湧いており、個人的には
「その考え方はちょっと好きでないなあ」
と思っている。


 自分は
「何においても全力疾走しかできない、不器用なタイプ」
と思っていたが、結局それが好きなんだろう。

 

 前職では

「無理な距離(無理な仕事量)を全力疾走した(時間と労力をかけた)ため、心肺停止(バーンアウトした)」

的な状況がたくさんあったので、最近は「怠け者」の夫を見習って、ちゃんと遊ぶようにしている。

 

 その証拠に、このブログに2時間かけている(遊びも全力疾走か、、、トホホ)。
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 人の扱いが上手で「自分は努力せず人にやらせる」ウチの夫は、どちらかというとフランス人寄りの気質で、
「頑張って何かを達成した苦労人」
「心に熱いミッションを持っている人」
に憧れている(苦笑)。

 

 そんな夫に
「うわあヒロ、学校の勉強、頑張ってる!すごいすごい!」
と毎日踊らされている私である。

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 12/5(木)から公共交通機関ストライキがあり、パリの電車・バス全て止まるらしい。
 そのストライキが終わる計画はされていないらしい。

 

 近郊に住んでいる私はグーグルマップによると片道1時間強歩けば学校に着く。
 往復2時間半はかかるだろう。 

 この徒歩2時間半って無駄じゃないか。

 

 ストは会社の年金が減ることに対するストらしい。

 他のフランス人は平然に構えている。
 郊外に住んでいて

「学校の最寄り駅まで急行で45分」

みたいな生徒はどうするんだろう。

 

 

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↑先日は授業中に雹が降りました。

 

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(ネタバレあり)クイア・アイ ジャパンに異議申す

学校休暇中のイギリス旅行は、LCCを使った。
つまり、食事は出ないし、映画もない。
行きはテキトーに過ごしていたのだが、ふと、最終日の夜にNetFlixを立ち上げると、Queer Eyeの日本ロケバージョンがあるじゃないか!

 

もともと(自分はドストレートだが)LGBTQに興味があった。
私は個性的な人たちに惹かれるタチだ。

ゲイのエキスパートたちが悩める人たちを食、インテリア、洋服、髪型、自己啓発の面から変えていく番組は、変身系の番組がもともと好きだった私にピッタリだ。昔、母と午後のワイドショーでの「ピーコのファッションチェック」や、「奥様変身」をよく見ていた。懐かしい。


NetFlixでシーズンが更新される度に、社会人時代は10エピソードを1週間で、パリに来てからは1日・2日で見切ってしまう。

5人のゲイのエキスパートが優しく、面白く、前向きな態度で相手の改造に取り組み、番組を見終わった後には気分が上がる。

 

そんな番組の日本ロケバージョン。

 

日本人として、また日本人がエキゾチックに描かれるのではと不安だった。

 

昨日イギリスからフランスに帰るフライトと、家に帰ってからで4エピソード(各50分)全部見てしまった。


なかなか良かった。
日本の文化的特徴をちゃんと5人に叩き込んでいるんだろうなと思えた。
洋服や髪型の変身も、あまりやりすぎず、本人たちが気負わなくて良い日本スタイルだ。
料理もオムライスや麻婆豆腐。

インテリアは小さいアパートのスペースを最大限に生かした改造。
アメリカ文化の押し付けではなく、あくまで日本の文脈での大変身番組だった。

 

全体的な演出として「日本のアニメ文化や伝統家屋・着物のエキゾチックさを前に出しすぎ」と思うものの、まあ、外国人の目にそのように移るなら、仕方ない。
水原希子の起用も、その奇抜に演出されたルックスも、5人の存在感に合わせようとしてのことだろう。

 

全体的には良かったのだが、すごく気になるところがあった。


番組やファブ5のインタビューによると、日本のヒーロー(改造される側の人を番組では「ヒーロー」と呼ぶ)たちの抱える問題は大きく分けて下記の2つのようだ。

 

1. 問題は家族間のコミュニケーション不足にある。ちゃんと言いたいことを言おう。
2. 問題は自分を押し殺しすぎることにある。もっと自分を出そう。

 

ファブ5の言いたいことはわかる。
確かにそうだし、納得できる。
「(この問題は)国関係なく誰にでも当てはまること」という論も分かる。

 

でも、日本におけるそもそもの原因は何なのか。

日本人であれば誰でも分かる。

 

1. 問題は家族間のコミュニケーション不足にある

 

→日本家庭では、お互いの「気持ち」についてそもそも話さないのが普通。

ちなみに、弟と両親との不和があった際、私が自分の両親にそれをやろうとして「あの時はお母さんはどう思ったの?」なんて聞いたら、LINEの返信が来なくなったし、父は「ヒロコの言っているようには思っていないよ」と一言言うだけ。

 

→日本家庭では問題が発生した際「とことん本音で話合って解決しようぜ!」とはならない(体育会系の会社であればありうる=仕事であればありうる)。
人の意見とその人の人格を切り離せないので、「とことん本音で話し合う」ことで大抵感情的になってしまい、不和に終わってしまう。

もしやるとすると、遠慮しながら話し合って、お互いの腹のなかを読みつつ合意に至るのが日本式だ。それにはすごーく時間がかかる。

 

→そもそも日本社会では空気を読むのが良いとされている(家族間では多少空気を読まなくても良いかもしれないけれど)。

直球で質問したら(「お母さんは何を考えてるわけ?」等)家族間であってもお互いギョッとする。
深いコミュニケーションをしたければ、空気を読んで良いタイミングで、しっかりマイルドで回りくどい質問をして、その際の相手の表情とか、言葉遣いから本意を伺うしかない。

 


2. 問題は自分を押し殺しすぎることにある。もっと自分を出そう。


→ヒーローが言っていたように、日本社会で生き抜くには、自分を抑える方が賢明だ。

あまりにも自分そのままでいくと、イジメられるし「他人への配慮ができないヤツ」ということになって損。

私の社会人2年目までが正にそのケースだ。

 

→日本において「自分を出すこと」=「自己主張すること」は、度を過ぎると「偉そう」「ずうずうしい」「自己本位」とみなされる。イチローが当初日本人に好かれなかったのも、ホリエモンが好かれないのも、彼らの自己主張の強さだし「愛想のなさ」なのではないか。

自己本位に振る舞うのは、他人の心や目に気をつかうことを良しとする日本文化ではタブーだ。
その文脈の中で「自分を出せ」と言われるのは、崖から飛び降りろと言われるのとほぼ同じだ。

 

上記を分かっていて自分をあえてさらけ出す場合

「もう他人の目なんか気にしないし、自分のコミュニティ(会社・それまでの友達)なんか、捨てる!悪口言われても気にしない!」

という強い決心が必要だ。
もしくは
「俺・私はこういう尖ったキャラでやっていく!」
という、これまた並々ならぬ決意が必要だ。

 

今回の日本のヒーローたちが抱える葛藤の原因は、


日本社会でのサバイバルを学習した結果、人とコミュニケーションを取らなくなったし、自分を押し殺すようになった。」

 

というところにあるのではないか。

その社会で生き抜くために身につけた習慣の場合、それを止めろと言うのは自殺しろと言っている状態に近い。

 

 

 

番組全体としては、

「私たちのアイデンティティの問題は、国や文化関係なしに共通で、みんな他人から認められたり愛されたりすることが必要なのだ」
の結論で終わっていたように見えた。

 

私の大好きなファブ5のアドバイスはごもっともだけれど、日本の文脈と合わせて考えると、もっと問題は根深いと思う。

 

日本社会が良しとする謙虚さや気遣いがグローバル化や時代の中で実態に合わなくなってきている一方で、その価値観は依然としてはびこっている。その状況におかれた現代の日本人がハッピーになるにはどうしたら良いか。

 

そこに課題設定をした場合であっても、結論はもしかしたら変わらないかもしれない。


確かにコミュニケーションは(仕事だけでなく)家族間でも大事だ。
確かに自分を押し殺すと不幸になるから、自分を出していくことが大事だ。

 

しかし、それを、自分たちが生きている環境と折り合いをつけながらやるにはどうしたら良いのか。


ファブ5からの画一的なアドバイスはヒントにすぎず、結局は私たち一人一人が置かれた状況と、自分の性格や好みを考えて出す答えが大切だ。
私たちひとりひとりが柔軟になるのだ。

 

その自己発見の中で、「もう日本は嫌だ」という結論が出たなら、国を離れるのも仕方ないのでは。
その自己発見の中で、「やっぱり私は他人を優先したい」という結論が出たなら、自分を後回しにすることが多くなっても仕方ないのでは。
その自己発見の中で、「やっぱり自分の親に本音をぶつけたり、話合いたくない」という結論が出たなら、なんとかして家を出るしかないのでは。

 

〇〇すべし」という自己啓発系のアドバイスに盲目に従うのではなく、

その人にとって居心地の良い価値観で生きていったら良い、

と教えてあげられないか。

 

日本のケースでは、ファブ5が自分探しの方法を教えてくれ、かつ番組でもやり方を見せてくれると、ヒーローだけでなく視聴者にとって、より意義深い体験になるのでは。

 

大好きなファブ5と番組制作者の方々、より深い番組を、何卒よろしくお願いします。

 

 

ジュエリー学校の休暇

ジュエリー学校に2週間の休暇があり、相方と2泊3日でアビニョンに行ったり、一人でイギリスに行ったりした。

 

母は

「そんなお金あるの?日本に帰ってくるときに無一文だと大変よ。」
と言う。

まず、お金はそんなにない。でも、パリから逃げ出したくて仕方なかった。
それにスコットランドに今年仲良くなったお友達がいて、泊めてくれると言っている。
ロンドンでは一泊約5000円くらいのAir BnBをみつけた。
行かないわけにはいかない。

 

会社員時代は、年に旅行を2回(相方と一回、ひとり旅一回)することで正気を保っていた。
今年は10月になっても一度も旅行していなかった。

・・・
「パリに住んでるんだから、旅行したいとか、贅沢言うんじゃない」
と思われるかもしれない。

 

でも、それはパリ生活を一度体験されればわかる。
外見がどんなにステキな街でも、住み慣れればネガティブなところに目がいくものだ。

 

(建物的に)ボロボロでオシッコの匂いのする地下鉄のプラットフォーム、汚いおもちゃのような地下鉄。

おまけに人もボロボロの服を着ている。こっちの皆さんが着ているコートは5、年着ているんじゃないかと思われるルックスのものが多いし、カッコいいレザージャケットも生地はまるで1mmの厚さだ。だいたい本革かどうかも怪しい。
私が今年始めに日本で買ったランニングシューズはすでに灰色で、両足の親指のところに穴も空いているが、見事にパリ地下鉄に馴染んでる(え)。

カッコ良かったり、おしゃれだったりする人は大抵観光客だ。

これで本当に「フランス人は服を10着しか持っていない」のを憧れられるのか。目を覚ませ日本人よ!

 

ビザの申請とか、行政系の手続きをしようとすると、担当者が何も分かっていなくて、ひたすら「ノン」(ダメです)。食い下がって頼み込んでも必要な手続きを教えてくれる人は皆無だ。みんな仕事をしないようにプログラミングされた機械のように同じ回答だ。

ジュエリー学校で国家資格(CAP)の仕組みについて説明されたがよく分からなかったので質問すると、

「もー!なんで理解できないの?あなたたちの後にもたくさん生徒がいて、登録・説明しないといけないの!時間ないのよ!」
とキレられた。

 

朝起きて窓を開けると、目の前の道でタバコを吸っている人の煙の受動喫煙
洗う食器をシンクにためておけばショウジョウバエが集る。
もちろん、ゴミ箱の周りにもたかってる。
一時は窓を開けていると小さい蛾が入ってきて、「蛾ホイホイ」のような粘着式のワナを仕掛けたら、3枚のポストカードサイズの罠に、それぞれ20匹ほど引っかかっていた。

 

洗面所の蛇口から出る水はなぜか二股に分かれていて(どこかで詰まっているのだろう)、普通にひねると、昔公園の水道をひねった時に出たみたいに水が全身にかかる。
ちなみにキッチンシンクの水道は毎日詰まる。手で生ゴミ等を掻きださないといけない。

 

夜寝てると、同じアパートでセックスしながら喘ぐ女の人の声と、彼らのお尻がパタパタぶつかる音で起きる。

 

これで家賃は1ヶ月20万円ほどだ。

さてあなたはこんなパリに住みたいか。

(本当にフランスの方が日本より進んでいると思うか。)

 

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南仏のプロバンスの一部であるアビニョンは歴史都市。
歴史好きにはたまらなかった。


ランチ・ディナーは外食をしたが(相方さんのお財布で。ありがとうございます)、パリよりはるかに美味しいものが食べられた。(といっても、パリであまり外食してないか、、、)
3.5ユーロのバケット一本サイズのサンドイッチが美味しすぎてビックリ。

 

 

イギリスに行ってみたら、フランスより電車、駅のプラットフォーム、駅のトイレすべてにおいて清潔だった。
日本人の平均より2倍くらいある体格の人たちが、どうして銀座線の3分の2くらいのサイズ(幅)の地下鉄に乗って通勤できているのか謎(身長152センチの私でも息苦しかった)。

でもそんな地下鉄の中の人の身なりは、パリの皆さんボロボロに比べるとちゃんとしている。要はちゃんと外見にある程度お金をかけている。


うーん、フランスよりイギリスに住みたいぞ(今、読者の日本人全員を敵に回した気がする)。

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皮肉なのは、パリのフランス人は愚痴や文句を言うのが大得意ということ。会話を耳に挟んでいても、大体何かしら文句言っている。

ネガティブ思考が骨の髄まで染み付いている。

つまり!

私がパリの文句を散々言っていることで、すでにフランス人と一緒ということになってしまうのである。

あああああああー嫌だ!ダークサイドに飲み込まれる!

 

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イギリス旅行中にビックリすることがあった。

まさかのまさかで、フランス語が出てきてしまうのだ!


「日本に長年住んでいる外国人が本国に帰ったら、日本式コミュニケーションになってるし、日本語の方が出てくる」

なんて話をテレビで見ると、
「またまた〜ご冗談を!「日本すごいよ」的な番組ですか」
なんて思っていた。

 

「フランス語の方が出てくるなんて、とんだ自慢だぜ、これ書いてるヤツは」
と思われるかもしれない。
でも、反射的に出てしまうのだ!(そしてそんな自分が悲しい)

 

人とぶつかると「ソーリー」より「パルドン(Pardon)」だし、
「グッドモーニング」より「ボンジュール」だし。
片道切符を買おうとしたときは「アレ・サンプル(Aller Simple)」と言おうとしてしまって焦った。

 

私の頭が明らかに大混乱している。

よく聞く「外人現象」が自分にも起こるなんて!!

 

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フランスを離れて旅行して発見したフランスの良いところ

 

・フランス人は礼儀正しい。挨拶第一。
・フランスのパンは何を食べても、どんな価格帯のものを食べても美味しい。
・フランスのケーキは何を食べても、どんな価格帯のものを食べても美味しい。サラダ油を感じたことは全くない(イギリスではサラダ油味はしょっちゅうだった)。

・フランスワインは価格に関係なしに大抵美味しい
・南仏の人(今回はアビニョン)は感じが良い(イギリスよりも)。
・(パリでもアビニョンでも)こっちがこの「アジア人」ルックスでも「フランス語話せる」オーラを出すと話しかけてくる(イギリスではそういう体験は一切なかった)。
・こっちの子供が一生懸命フランス語を話すのはカワイイ(子供の関西弁がカワイイのと同じか)。
「パパあ、このおにく、かたいね〜」

と言いながらステーキ肉を一生懸命ナイフとフォークで切る男の子にキュン死。


以上!(少なっ。でも進歩してるか。)

 

 

 

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