ニート in パリ - 行けっ森蔵!

偶然フランスはパリに移住することになった30代女子の生活。なぜか画家のベルト・モリゾに惹かれている。

結婚と子供と夫との齟齬と

今日の内容は読者の方々の中で反発を生むこともあるかもしれません。


でも、1人で思い悩みたくない。
特に日本の方々にはあまり理解してもらえないかもしれないと思いつつ、もう抱え込みたくない。
 

 


皆さんは女性は結婚して子供を産むべきだと思いますか?
 


私がNoと強く主張すると、夫(まあ、事実婚なので、法的に正式に結婚しているわけではないのですが)は、
 
「ヒロは女子大を出てフェミニズムを学んだから、多少染まってるよね。」
と言います。
 

 


夫は体育会系の色が濃い山パンに勤務。
本社の女性社員は主に事務担当で、昇進の道はないそうです。
業者さんとの飲み会の席では「華を添えるためにウチからも女性社員を連れて行こう」となるよう。
ご両親は地方のご出身で、伝統的な価値観が強い。
 
 
このような状況で私は「強い我を通し」、結婚せず、子供を産まないという決断をしました。
 

 


夫の会社からは
「なぜ結婚しないの?」
「なぜ彼女さんは結婚してくれないの?夫になる君が力不足なんじゃないの?」
と夫は言われています。
その度に柔和な夫はお茶を濁してきたらしい。
 


夫の家族から私には、
「なぜヒロコちゃんはウチが嫌いなの?」
「このまま結婚しなくていいの?」
と催促される始末。

 

 

 

私にはたくさんの要因からの決断だったのです。


とりあえず夫の先輩達に子供の有無について聞かれた時には、
「ははは、いやあ、夫が子供みたいなもんなんで。夫のケアで手一杯ですよお(笑)」
と笑いを取りに行く。夫は打たれ強く、横でニヤニヤしている(ごめんね、夫)。
 


夫のお母さんには一時期、愛犬と「3人で」散歩に出かけさせられ、結婚の意思を詰問されたため、
「あの、特に悪意はなくて。私は今のままで幸せなので。彼のことも大好きですし。」
と一言回答した。
 


 
伝統的な「女性は若いうちに結婚し、子供を産むべし」に対し、物申したい。
 
もちろん、私の友人や会社の先輩で子供を産み、さらに幸せになっている人たちもいる。
そのひと達の人生はその人達の人生だ。

私の人生ではないので、とやかく言うことはない。

彼らが幸せなのが一番。

世界のより多くの人が幸せでいることが一番大事で、何によって幸せになっているかは、関係ない(人を殺して幸せになるのは問題だけど)。
 

 


と前置きした上で、私の人生における、私の個人的な見解を述べてみたい。
 


人の幸せはそれぞれだ。女性だからといって型にはめられた「幸せ」を追い求める必要はないのではないか。

世界に誰一人として同じ人がいないのだから、型にはめられた幸せがその個人に当てはまるかどうかは分からない。
 
・そもそも歴史上、家族を作ることが宗教的に奨励されたり、政治家が国を統治したり、税金を取ったりするのに都合がよかったから、家族を作るのが当たり前になっていたのでは。


・現在、女性が働くのは一般的になっている。税金だって納めている。ちゃんと社会の務めを果たしている。

結婚・子供は個人の選択に任せてよいのでは。
 
・今、仮に私が子供を産んだからといって、日本の少子高齢化の即効薬にはなり得ない。どっちみち、少子高齢化は始まっているし、今後も進む。
 
私だって、夢を叶えたい。

これは誰にでも言えることだが、キャリアの階段や成長が著しい時期に同じくして出産適齢期が来る。その際に、出産を選ばなければならないのはなぜか。

一旦キャリアが途切れれば、回復が難しい。
 
・もちろん生物学的には難しくはなるが、40歳までなら理論上は産めるはず。なぜ社会はすぐに産めとせかすのか。

親の介護と子育てが重なるのはわかる。しかし、それはカップルの決断に任せたらどうか。
 
・そもそも、私の妹は重度の知的障害者だ。もし私の両親が介護状態になったら、妹の世話もする必要がある。

その際に自分の子供もいたら(しかもティーンエイジャーくらいの子供だったら)、とてもじゃないけれど対応しきれない。
 
・夫は選べるが、夫の家族は選べない。それと同時に自分が生まれてきた家族も選べなかった。

もし、子供を育てるのに、それらの条件も良くなかったら、生まれてきた子供は幸せなのか。本人にちゃんと祖父母がいるのにも関わらず、祖父母に逢わせることなく、「○○ちゃんのおじいちゃんおばあちゃんは死んじゃったんだよ。」なんて言えるか。

 

・(仮に今子供ができるとすると)これからジュエリー学校を卒業して、フランスでの就職もしてみたい。そのタイミングで子供を産んだら、自分のやってみたいことが中断されて、後悔する。最悪なのは子供が大きくなって喧嘩したときだ。うっかり「あんたが生まれてきたから、お母さんはやりたいことができなかった」なんて漏らしちゃったら、子供にはトラウマだ。


 
 
 
実は、夫が言うように私は「大学でフェミニズムにやられた」わけではない。


実際振り返ってみると、在学中に夫とのデートで、
「子供は公立の男女ちゃんといる学校に通わせたい。お坊っちゃま、お嬢ちゃまばかりの特殊な環境ではなく、ごく普通の子供たちと遊ばせたい。」
と話したのを覚えているし、社会人2年目で結婚の話が出た時もとくに子供の件は反対しなかった。

むしろ2人にどっちに似るかとか、名前は何にしようか、とかロマンが膨らんだものだ。

 

 

結婚の話が出た時、私がちらっと夫に、
「ねえ、山本姓をキープしてもいいかなあ。「山本が大好き」ってわけじゃないんだけど、でも家族とのつながりは持っていたいんだ。」
と言うと、夫は柔軟なので、
「いーよ、別にボクが山本になっても。」
と言ってくれた。


しかし、その後、夫が夫の家族に伝えたところ両親の怒りを買ったらしく、
「ヒロコちゃんとは結婚してはダメ」
となった。

私は電話で母の前で大泣きした。
 

 


結婚が保留になり、自分の中で色々考えた。
どうやら、お決まり通りの人生にはならなそうだ。
彼の両親を怒らせてしまったし、仮に結婚しても、
「あの時、ヒロコちゃんはウチを嫌がった」
と嫌味を言われ続ける可能性もありうる。
 


この辺りから「結婚No、子供No」への強い意志が強くなっていく。
 


のろけではないが、夫のことはもちろん大好きだ。
私の中で大親友だから、なるべくは一緒にいたい。
 


しかし、結婚して、夫の家族の中に入って、果たして私は幸せになれるのか。
 


私の子供は幸せになれるのか。私が(もしかしたら)夫の家族と戦うのを見て。
「お母さんはなんでおじいちゃん、おばあちゃんが嫌いなの?」
となるに違いない。子供はおじいちゃん、おばあちゃんが好きなものだ。
 
それに「おじいちゃん、おばあちゃんのことは嫌い!お母さんをいじめるんだもん。」
と子供が言うようになっても、不健康な家族を作ってしまう。
 
「お母さん、なんでおじいちゃん、おばあちゃんに意地悪なの?」
となってしまったら、最悪だ。
 

そして私は嘘をつけないタイプだ。
子供の前で演技してたって、絶対顔に出る、、、子供は親や先生を見抜くのが上手なのだ。
 

 

夫の家族を責めているわけではない。
彼らは彼らの価値観の中で生きているだけだ。
彼らからしたら、私はとんでもなくぶっ飛んでいて、理解不能で、しかも自分の主張を通す、ワガママな小娘だ。
彼らの気持ちもよくわかる。
彼らの生活を私が望まないことで、自分が否定されているような気がしてしまうのも、よくわかる。
 
私が思うに、私と彼らの価値観は相容れないだけだ。
見ている世界が違うだけ。

 
だから、もう、結婚・子供を考えるのはやめましょう、、、
 
 
一番苦しんでいるのは夫かもしれない。
夫は平和主義者で、人との妥協が得意だ。そうやって上手いこと世の中を渡ってきた。
会社や、自分の家族からのプレッシャーをひしひし感じ、
「もう結婚しちゃえ」
「もう子供産んじゃえ」
と思っているに違いない。
 


「もし万が一妊娠してしまったら、中絶する」
と私が言ったら、相当嫌そうな顔をしていた。
 
「気持ちわかるから止めないけど、ヒロは本当にフェミニズムに染まってるよね。」

と彼は吐き捨てるように言った。
 
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フランスに住み始めて一年。
フランス人の友達は多くなく、クラスメイトとたわいもない雑談をするだけなので、社会のプレッシャーは感じていない。
 
幸せ。
 
フランスは何かと住居トラブルや行政のトラブルが多くて、本当に嫌になるけれど、思考的には解放されている。
 
日本に一時帰国した時は、先輩にビールが注げなくなってた。
もうちょっとで乾杯前に一口飲んじゃうとこだった。
 
 
 
彼は山パンで日本人と現地の人と働いており、YouTubeNetFlixなど触れるメディアも日本語、日本人マインドのまま、得意な柔軟性を生かして、フランス生活をスイスイ泳いでいる。
 
「この前なんかさ、『まあ、フランスは後3年くらいなんじゃないかなあ。そのあとは日本本社に戻る予感がしてるんだよね』って言ったらさ、『なんでフランスに馴染んでるのに、日本帰るとか言い出すんすか。』って後輩から言われたよね(笑)」
と語る夫。
 
「日本の便利な生活好きだもんねえ」と私。
 
「そーそー。まあ、老後とか考えたらさ、物価が安い福岡に住んだりするといいみたいだけどね。とか、継続して収入が入るような仕事してたらさ、物価の安さと自分の収入の差額を取って、タイとかベトナムとかに住むといいらしいよ。」
と彼。
 
むむむ。
 
私、日本に帰りたいかなあ。
 
もちろん家族の世話はあるけれど。

もちろん和食は大好きだし、恋しいし、便利な日常生活で、何も悩まなくていい。

でも、、、
 
日本での私って浮いてて、周りからは外国人みたいな目で見られてたんだよな。
それにしては、同僚・先輩・上司の外国人の仕事のいい加減さが許せなかった。
「日本人になりきれないけれど、外国人でもない」って感じだったんだよな、、、
 


「日本での将来って全くイメージ湧かないんだよね。好きなんだけど、嫌いというか。なんか実家みたいなの。帰ると『いいな、幸せだな』とか思うんだけど、一定期間を過ぎると『もういいや、離れよう』って感じで。」
と私ポロリ。
 

「いやあ、社会も変わるって。この前は派遣社員やバイトの人の給与を正社員と同じにするとかいう法律ができたらしいよ。社会は変わってくから大丈夫だよ。」
と夫。
 
 
本当に夫は前しか向いていないんだよな。
 
いい人なんだけど、どーも私の気持ちまで考えてないような。
 

 

そして、、、
日本に帰って、また結婚・子供のプレッシャーにさらされたとき、彼は大丈夫なのか。
 
私は嫌になるほど考え抜いたから、思いを貫く。
 
人生でそれなりの苦労をしてきて、一番学んだのは、
 
「自分が苦しんでいても、誰も気にしてない。誰も助けてくれないし、立場を変わってくれない。なら、自分は自分で守れ。自分の意思を貫け。誰も自分を幸せにはしてくれない。」
だった。
 
だから、社会の敵になろうが、夫もしくは夫の敵になろうが結構。
 

これは自分の人生だ。

 

・・・・・・


でも、やっぱり、女性が一様に結婚・子供の選択を迫られるのはおかしいと思うな、、、
 
と思う今日この頃です。